民泊の清掃記録は何年保管すべき?行政指導で求められる書類の範囲を確認

民泊の清掃記録を年別に整理したファイルと机の上のノート 清掃品質・運営ノウハウ

去年の秋、新宿の部屋に区の担当者から電話が入ったことがあります。近隣から「ゴミ出しの日が違う」と情報提供があって、届出住宅の運用を確認したい、という内容でした。会社の昼休みにコンビニの駐車場で受けた電話で、正直、指がひやっとしました。

そのときに聞かれたのは宿泊者名簿と、清掃・鍵の受け渡しの記録でした。「直近3ヶ月分、あとで確認したい」と。結果として指導どまりで済みましたが、「じゃあ何年前の分まで残しておけばいいのか」を、そこで初めて真面目に調べました。

この記事は、都内で新宿・浅草・大田区の3物件を兼業で回している私が、住宅宿泊事業法・住宅宿泊管理業に関する一次情報を確認したうえで、「清掃記録は何年残すのが実務的に妥当か」「行政指導で見られる書類はどこまでか」を整理したものです。法規の断定的な解釈は避けます。最終判断は必ずご自身の自治体窓口でご確認ください。

この記事の要点

  • 住宅宿泊事業法8条に基づく宿泊者名簿の法定保存期間は「作成日から3年間」で、これは住宅宿泊事業者(オーナー)に直接かかる義務。
  • 清掃を委託する住宅宿泊管理業者側には、法38条に基づく帳簿を「各事業年度の末日で閉鎖し、閉鎖後5年間」保存する義務がある。オーナー側にも実務上、控えを保管しておくのが安全。
  • 清掃記録そのものの保存年数を数字で指定した条文は住宅宿泊事業法にはない。ただし宿泊者名簿・帳簿と紐づく資料として、実務では「宿泊者名簿と同じ3年」を最低ラインに置くオーナーが多い。
  • 2ヶ月ごとの定期報告(宿泊日数・宿泊者数・国籍別内訳など)の裏付けになる記録は、報告の根拠として同じ3年程度を目安に残しておくのが無難。
  • 清掃記録は自治体の立入検査や指導、AirCoverの申請、ゲストとのトラブル時の事実確認の3方向で使うため、法定より長めに残しても損はない。

一社ずつ電話して「うちの清掃、記録の残し方どうしてます?」と聞いて回るのは正直しんどいです。条件を入れれば清掃業者を横串で比較できる見つける君のような仕組みで、報告書のフォーマットが整っている業者から当たった方が早いと思ってます。

法令が数字で決めている保存期間はどこまでか

先に結論を書きます。住宅宿泊事業法の条文で年数を数字で明記しているのは、宿泊者名簿と住宅宿泊管理業者の帳簿の2つです。清掃記録それ自体を「何年保存せよ」と直接書いた条文は見当たりません。この違いを最初に切り分けておくと、以降の話がぐっと整理しやすくなります。

まず宿泊者名簿。茨城県のサイトでも明記されている通り、住宅宿泊事業法8条により、届出住宅等に宿泊者名簿を備え付け、宿泊者の本人確認を行ったうえで必要事項を記載し、作成した日から3年間保存することとされています。大阪市の環境衛生ページも同様に、旅館業法・住宅宿泊事業法いずれも「作成日から3年間」で揃えています。ここは3年で確定。

次に、清掃を委託する住宅宿泊管理業者側の帳簿。国交省の民泊制度ポータル「住宅宿泊管理業者編」を読むと、営業所又は事務所ごとに帳簿を備え付け、届出住宅ごとに管理受託契約の締結日や受託業務の内容等を記載し、各事業年度の末日で閉鎖して、閉鎖後5年間保存する必要があるとされています。ここは5年。「事業年度末で閉鎖してから」5年なので、体感より少し長くなる点は覚えておくといいです。

で、肝心の清掃記録。住宅宿泊事業法5条は「宿泊者の衛生の確保のために必要な措置」を求めていて、その中に定期的な清掃・換気などが入りますが、記録の保存年数までは条文レベルで数字を切っていません。だから「法定◯年」と1本で言い切る書き方は、正直この論点では危ないと思ってます。以前まとめた立入検査で見られる清掃記録の整理の記事でも触れましたが、実務では「関連書類として3年をベースに、余裕があれば5年」に落ち着かせているオーナーが周囲では多いです。

3年・5年の内訳を表で見る

この表を作ったとき、自分でも「あ、清掃記録って浮いてるな」と気づいたんです。義務の柱は名簿と帳簿。清掃記録はその柱に貼り付けて残していく資料、というのが実務上の位置づけに近い。だから何年残すかは、柱の年数に合わせて決めた方が矛盾が出ません。

なぜ「清掃記録は3年以上」に落ち着くのか

清掃記録は3年以上残す。私はこの結論で運用しています。理由は3つあって、宿泊者名簿とセットで参照される場面が実際に多いこと、2ヶ月ごとの定期報告の裏付けになること、そして自治体の立入検査で「宿泊者ごとに何が行われたか」を追う際に清掃記録が使われる可能性があるからです。

国交省の民泊制度ポータルにある通り、住宅宿泊事業者は毎年2月、4月、6月、8月、10月、12月の15日までに、前2ヶ月分の宿泊日数・宿泊者数・延べ宿泊者数・国籍別内訳を都道府県知事等に報告する必要があります。清掃日と宿泊日は表裏一体で、清掃記録が残っていれば報告数字の裏取りが一発で済む。これが2つ目の理由です。

3つ目。冒頭に書いた新宿の一件のように、行政から質問が入るのは「今」ではなくて「少し前の運用」についてであることが多い印象です。私が問い合わせを受けたのは秋でしたが、聞かれたのは夏の運用。清掃記録が3ヶ月しか残っていなかったら答えようがなかったと思ってます。少なくとも宿泊者名簿と同じ3年、体力があれば管理業者の帳簿と揃えて5年。ここが実務のスイートスポット。

保管形式は紙とデータの二重が現実的

3物件のうち、新宿と大田区はほぼデータで管理しています。清掃業者からLINEやメールで送られてくる清掃前後の写真、チェックリスト、鍵の受け渡し時刻。これをGoogleドライブに月別フォルダで放り込む。浅草の1LDKは業者が紙のチェック表を郵送してくるので、こっちだけ物理ファイル。

やってみて分かったのは、データ一本にしないほうがいい、ということです。クラウドが1回落ちて焦った日があって、そこから「重要な部分は紙にも印刷する」を月1でやってます。地味ですが、3年後に自分を助けるのはこの地味さだと感じてます。清掃業者からの写真報告の運用を最初に詰めておくと、後から遡るときの労力が全然違います。

行政指導で実際に見られる書類の範囲

行政指導で見られる範囲は、宿泊者名簿・標識掲示・定期報告の履歴・苦情対応の記録、そして必要に応じて清掃と鍵管理の記録、というのが私の体感です。ここは自治体差もあるので断言はしませんが、東京都内の3物件で見聞きした範囲では概ねこの並びで聞かれます。

宿泊者名簿を備え付けていなかった、または保存していなかった場合は、住宅宿泊事業法76条により30万円以下の罰金が科されることがあります。これは茨城県のページに明記されています。名簿の不備は「うっかり」で済まない領域、というのは押さえておきたい。清掃記録の未保管が直接罰金になる条文は見当たりませんが、法5条の衛生確保に関する指導の中で記録の提示を求められる可能性は十分あります。

もう一つ、意外と見られるのが苦情対応の記録。近隣からのゴミ・騒音の苦情がいつ・どう入って、どう対応したか。これは清掃業者に共有した内容とセットで残しておくと強いです。ゴミ出しの分別を清掃業者にどう伝えるかを最初にドキュメント化しておくと、苦情が来たときに「うちの運用はこう」と即答できる。

立入検査で提示を求められやすい順に並べると

  • 宿泊者名簿(3年分)と本人確認資料の写し
  • 2ヶ月ごとの定期報告の控えとその元データ
  • 標識の掲示状況の写真
  • 苦情の受付・対応記録
  • 清掃・寝具交換の実施記録と写真
  • 鍵の受け渡し記録(管理業者経由の場合は業者側にも)
  • 害虫防除の実施記録(頻度が問われる自治体あり)

この並びは順位を断定するものではなく、私の3物件で問い合わせや情報提供を受けたときに「あ、これはよく聞かれるな」と感じた順です。地域や事案によって変わるはずなので、自治体の民泊窓口に一度確認しておくと安心です。

清掃業者と自分、どちらが記録を持つべきか

結論から書くと、原本は業者、控えはオーナー、が現実的です。清掃業者は仕事の一環として日報や写真を必ず残します。ここに乗っかる方が二重管理にならず、抜けも減ります。ただし、業者が廃業したり契約解除で連絡が取れなくなるリスクは常にあるので、控えを自分の手元に置いておく運用が安全。

浅草の1LDKで、2年前に清掃業者を切り替えたことがあります。切替直後の3週間、旧業者の清掃記録が手元になくて、その期間の宿泊者からの問い合わせに答えにくかった。半年間の記録一式をUSBでもらう約束を契約書に入れておけばよかったと、今でも反省しています。契約書に入れておくべき条項の中でも、この「解約時の記録引き渡し」は地味に効きます。

もう一点、住宅宿泊管理業者の帳簿は法38条で「事業年度末で閉鎖後5年」の保存義務があるので、業者側は法定でしっかり残す前提です。オーナー側は「業者側で5年保存されている」を前提にしつつ、自分の手元は3年をコアに、といった役割分担で回すのが実務的だと思ってます。

清掃記録に最低限入れておく項目

  • 実施日と時刻(開始・終了)、担当者名
  • 対象部屋の識別(届出番号または住所)
  • チェックアウトから清掃開始までの経過時間
  • 寝具・タオル類の交換有無と枚数
  • ゴミの搬出量と処理方法
  • 写真(清掃前・清掃後、キッチン・水回り・寝具)
  • 異常事項(破損・忘れ物・臭気など)と対応

このフォーマットに揃えておくと、3年後に見返してもすぐ状況が復元できます。実際、私が去年の秋に区の担当者に説明できたのも、写真とチェックリストが揃っていたおかげでした。フォーマットが業者ごとにバラバラだと、いざというときに読み解くのに時間がかかる。ここは統一しておく価値あり。

複数の業者に相見積もりを取るときも、報告書のフォーマット例を先方から出してもらうのは有効です。条件を入れるだけで清掃業者を並べて比較できる見つける君のような仕組みを使うと、「報告書が薄い業者」を最初の段階で外せます。

2ヶ月ごとの定期報告と清掃記録の関係

定期報告の裏取りに清掃記録を使う。これが実務で一番効いてくる場面だと思ってます。観光庁のサイトでも、住宅宿泊事業者は届出住宅ごとに毎年2月・4月・6月・8月・10月・12月の15日までに、前2ヶ月分の宿泊日数・宿泊者数・延べ宿泊者数・国籍別内訳を報告する必要があると明記されています。

ここで問題になるのが、宿泊日数のカウント。年間180日の上限がある以上、日数を1日でも間違えると翌報告で辻褄が合わなくなります。私は清掃日と宿泊者名簿を横に並べて宿泊日を確定させる運用にしていて、清掃記録がなかったら「この日は宿泊があったのか、清掃だけの内見用か」が後から分からなくなる。ここが清掃記録の実務的価値。

清掃頻度そのものについては、以前住宅宿泊事業法で求められる最低ラインの記事で整理した通り、宿泊者ごとに清掃・寝具の交換を行うのが基本線。だから「清掃記録=ほぼ宿泊記録の裏面」という関係になり、名簿と揃えて3年残す判断が自然と出てきます。

電子で残す場合の実務ポイント

電子保存はOK。ただし「後から改ざんしていないこと」を担保できる形にしておくのが大事です。国交省の民泊制度運営システムでは、宿泊者名簿をもとに定期報告データ(CSV)を作成できる仕組みが提供されていて、電子で回す前提は既に整っています。清掃記録も足並みを揃えて電子でOKだと私は理解しています。

ただ実務的には3つ気をつけています。1つ目、写真は撮影日時のExif情報を残す(アプリで縮小すると消えるものがあるので注意)。2つ目、月次でクラウドから別の場所へバックアップ。3つ目、ファイル名を「YYYY-MM-DD_物件名_清掃前/後.jpg」で統一。地味ですが、3年後に自分を助けてくれる作法。

あと、清掃業者から送られてくるLINEの履歴は、機種変更で飛ぶことがあります。私はこれで1回痛い目にあいました。トーク履歴のバックアップだけでは不安なので、月末にスクリーンショットをPDF化して物件別フォルダに保存する運用に変えました。過剰かもしれないけど、そのくらいでちょうどいいと思ってます。

保管しすぎのリスク(個人情報との兼ね合い)

長く残せば安心、というほど単純ではありません。宿泊者名簿には氏名・住所・職業、外国籍の方であれば国籍と旅券番号までが含まれます(大阪市のページ参照)。個人情報を必要以上に長期保管することは、個人情報保護法の趣旨から見ると別のリスクを生みます。

私の運用は「宿泊者名簿は法定の3年ちょうど、清掃記録は3〜5年、そのほかの内部メモは1年で整理」に切り分けています。3年経過した名簿はデータをシュレッダー同等の方法で削除し、削除した事実を記録に残す。ここまでやって初めて「適切な保管期間」の運用になると考えてます。

清掃業者と名簿情報を共有しているケースは要注意。以前まとめた宿泊者名簿を清掃業者と共有していいかの記事に書いた通り、共有する情報の範囲と保管期間は契約書で切っておくのが安全です。「清掃終了後1週間で破棄」のような具体的な期限があるだけで、業者側の運用も引き締まります。

3物件それぞれで運用がどう違うか

同じオーナー、同じ都内でも、物件によって記録の残し方は微妙に違ってきます。私の3物件の運用を晒しておきます。

新宿ワンルーム(約25㎡)

チェックアウト回転が最も多い物件で、繁忙期は月に20泊近く。清掃業者からのLINE報告を毎回スクリーンショットに撮って、月末にPDFへ。宿泊者名簿はGoogleドライブで年別フォルダ。3年経過分を年始にまとめて削除するのがルーティンです。冒頭に書いた指導の一件はここで起きました。

浅草1LDK(約45㎡)

広い分、清掃時間も長くて記録も分厚くなる物件。業者が紙のチェック表を郵送してくるので、こちらは物理ファイル。年別に分けて自宅の書斎に。3年で処分。定期報告の元データはExcelで別管理していて、清掃日・宿泊日・稼働率を1枚のシートに集約しています。

大田区ワンルーム(約28㎡)

羽田寄りで海外ゲスト率が高い物件。旅券写しの管理が重い。ここは特に個人情報の扱いを厳しくしていて、旅券写しはパスワード付きZipで別フォルダに分けて保存、3年経過後は即削除。清掃記録はデータ一本。3物件のなかで一番慎重に運用しています。

3物件を並べて改めて思うのは、物件ごとにゲスト属性も清掃業者もチェック体制も違うので、「一律◯年」ではなく「最短ラインを法定の3年に合わせ、リスクの高い物件だけ厳しく管理する」のが現実的だということ。全部同じ運用にしようとすると、必ずどこかで無理が出ます。

ここまで書いたうえで、正直に言うと「清掃記録を5年残すべきか3年で切るべきか」は、私の中でまだ答えが揺れています。管理業者の帳簿と揃えて5年の方が理論的にはきれいだけど、個人情報の観点では3年で削った方が健全。皆さんはどう判断しますか。ここは各オーナーの物件特性と手間の許容度で分かれるはずです。

清掃業者を選び直すタイミングで報告書のフォーマットも組み直すと、この判断がぐっと楽になります。まずは無料で条件に合う業者を並べて見比べるところから始めるのが、いちばん摩擦が少ないと思ってます。

よくある質問

Q1. 清掃記録は法律で何年保存と決まっていますか

住宅宿泊事業法には清掃記録そのものの保存年数を数字で明記した条文はありません。ただし住宅宿泊事業法8条で宿泊者名簿は作成日から3年、38条で住宅宿泊管理業者の帳簿は事業年度末で閉鎖後5年の保存義務があり、清掃記録はこれらと紐づく資料として3年以上残すのが実務的な運用です。詳細は自治体窓口へご確認ください。

Q2. 電子データのみで保存しても大丈夫ですか

国交省の民泊制度運営システム自体が電子での宿泊者名簿・定期報告に対応しているため、清掃記録も電子保存で対応する運用は一般的です。ただし改ざんされない形での保存、複数バックアップ、いざというときにすぐ提示できる状態にしておくことが前提。詳細な取り扱いは自治体の指導方針を確認してください。

Q3. 清掃記録を紛失したらどうなりますか

清掃記録の紛失そのものに対する罰則規定は住宅宿泊事業法には見当たりません。ただし宿泊者名簿の未備付・未保存については法76条により30万円以下の罰金が科される可能性があると茨城県のページに明記されています。清掃記録が失われた場合、行政指導や苦情対応で事実関係を証明する手段が減るため、実務上のリスクは大きいです。

Q4. 清掃業者が持っている記録と、オーナーの控えは両方必要ですか

住宅宿泊管理業者は法38条で帳簿を事業年度末閉鎖後5年間保存する義務があります。オーナー側にも同じデータを持っておくと、契約解除や業者廃業時に困りません。私の経験では、業者切替時に旧業者の記録が手元にないと直後の運用に空白が生じます。契約書に「解約時の記録引き渡し」の条項を入れておくのが安全です。

Q5. 個人情報を含む記録はいつ削除すべきですか

宿泊者名簿は法定の3年で削除するのが目安。清掃記録の中に個人が特定できる情報が含まれる場合は、名簿と揃えて3年で処分する運用が現実的です。個人情報保護法の観点では「必要な期間を超えて保管しない」ことも重要で、長く残せばいいというものではありません。削除の履歴も記録として残しておくと安心です。

Q6. 定期報告の元データはいつまで残すべきですか

定期報告の元データについて年数を切った条文は見当たりません。ただし宿泊日数の集計根拠として、宿泊者名簿と揃えて3年程度は残しておくのが自然です。行政から過去の宿泊実績について照会が入る可能性を考えると、報告した数字の根拠をすぐ示せる状態を維持しておくのが実務的な安全策になります。

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