先月、新宿のワンルームで清掃業者を切り替えようと3社に相見積もりを取ったら、同じ25㎡の部屋なのに4,200円・5,800円・7,500円と3,300円の開きが出ました。広さもリネンの条件も同じで伝えたはずなのに、なぜここまで差がつくのか。金曜の夜、見積書を並べて眺めながらしばらく考え込みました。
結論から言うと、差額の正体はほとんど「基本料金に何を含めているか」の設計思想の違いです。安い業者が悪いわけでも高い業者がぼったくっているわけでもなく、見積書の作り方が業者ごとに違うだけ。ここを読み解けないと、後から追加請求で結局高くつく、というのが自分の一番の失敗でした。
この記事では、都内3物件(新宿・浅草・大田区)を兼業で回しているオーナーとして、見積もりの内訳の読み方と、業者間で数千円の差が出る本当の理由、そして比較するときに揃えるべき条件を整理します。数字は編集部調べの2025〜2026年の東京都心の実勢レンジで、物件の広さや繁忙期で変動する前提で読んでください。
この記事の要点
- 東京都心のワンルーム民泊清掃で、同一条件の相見積もりでも1回あたり2,000〜4,000円程度の差が出るのは編集部調べで珍しくない(広さ・リネン条件・繁忙期で変動)
- 差額の主因は、基本料金にリネン交換・ゴミ処理・消耗品補充・チェックアウト後の鍵回収などが含まれているかどうかの「含む/含まない」設計の違い
- 比較するときは、部屋の広さ・想定ゲスト数・リネンの有無・ゴミ回収の可否・繁忙期割増・キャンセル規定の6項目を全社に同じ条件で伝えるのが最短ルート
- 時間制と定額制では見た目の単価は近くても、超過分の請求ルールで年間コストが数万円変わるので契約前に必ず確認
- 安さより「見積書の項目が細かく分かれているか」で選ぶ方が、後から揉めない
一社ずつ電話して条件を揃えて相見積もりを取るのは、正直かなり骨が折れます。条件を入力すれば複数の清掃業者から見積もりを比較できる仕組みを一度試してみるのが早いです。
なぜ同じ条件を伝えても業者ごとに数千円違うのか
結論を先に書くと、業者ごとに「基本料金」に何を含めるかの線引きがバラバラだからです。同じ「ワンルーム清掃1回5,000円」でも、A社はリネン交換込み、B社はリネン別料金、C社はゴミ処理も含めて5,000円、というふうに中身が違う。表面の数字だけ比べても意味がありません。
実際、新宿のワンルームで取った3社見積もりを分解してみたら、A社は基本料金にリネン交換・チェック業務・簡易ゴミ処理まで含めて5,800円。B社は基本4,200円だがリネンが別途800円、ゴミ処理が別途600円で合計5,600円。C社は基本7,500円で全部込み、と見えました。総額だと2,000円しか違わない。
もう一つの要因が、業者側の「1回稼働あたりに使うスタッフ時間の想定」です。同じワンルームでも、45分想定の業者と90分想定の業者では、当然コスト構造が違う。安いところは短時間で回す前提、高いところは細部まで時間をかける前提、という単純な話でもあります。ここは見積書の数字だけからは読めません。
料金体系の3タイプで見積もり構造が変わる
民泊清掃の料金体系は大きく「面積制」「時間制」「回数×定額制」の3つに分かれます。くらしのマーケットが公表している業界情報でも、時間制の相場は1時間あたり5,000円前後(2024年時点)とされており、同じ「1回」でも計算根拠がまったく違います。時間制なら部屋の汚れ具合で総額が動くし、面積制なら一定です。
自分は今、3物件とも面積×固定額のハイブリッドで契約してます。理由は月末に予算がブレないから。時間制も試しましたが、繁忙期の疲れたゲストが泊まった翌日に想定を超えて請求が上がる月があって、キャッシュフロー計画が読みづらかった。ここは物件の稼働タイプで合う合わないがあります。
見積書に必ず出てくる7項目の内訳と読み方
比較のときに揃えるべき項目は7つあります。基本清掃料金・リネン交換・ゴミ処理・消耗品補充・繁忙期割増・キャンセル規定・保険/損害賠償。この7項目のどれが基本料金に含まれ、どれが別料金かを見積書から読み取れれば、数字の裏が見えてきます。
特にリネンとゴミ処理は、業者によって扱いが本当にバラバラ。見積書のチェックポイントを整理した記事で詳しく書きましたが、うちの浅草の1LDKでは、最初リネン込みと思っていた業者が実は「シーツのみ込み・タオル別」だったことが後から判明して、月に3,000円の追加請求が発生した経験があります。
| 項目 | 相場(東京都心・編集部調べ) | 基本料金に含まれるか |
|---|---|---|
| 基本清掃(ワンルーム) | 3,500〜5,500円 | 必ず含まれる |
| リネン交換(洗濯含む) | 500〜1,500円/セット | 業者による |
| ゴミ処理(分別・搬出) | 500〜1,500円 | 業者による |
| 消耗品補充 | 300〜800円 | 別途が多い |
| 繁忙期割増 | 基本料金の10〜30% | 別途 |
| 深夜/早朝対応 | 1,000〜3,000円 | 別途 |
| 特別清掃(嘔吐等) | 5,000〜20,000円 | 別途 |
この表は2025〜2026年時点の東京都心での実勢レンジで、物件の広さや業者の規模、契約形態で変動します。同じ「基本料金5,000円」の見積書でも、下の6項目のどこが含まれているかで実質コストが変わる、ということです。
基本料金に含まれやすい項目・含まれにくい項目
3物件で使ってきた業者7社の見積書を並べて分析した肌感だと、基本料金に含まれやすいのは「室内清掃・水回り清掃・簡易なベッドメイキング」の3つ。ここを外している業者はまずない。逆に、含まれにくいのは「リネンの洗濯(自前運用の場合)」「粗大ゴミの搬出」「消耗品の実費」の3つです。
特にゴミ処理は要注意。事業ゴミとして扱うので、家庭ゴミの日に出せないケースがあります。オプション料金の交渉ポイントをまとめた記事にも書きましたが、廃棄物処理法上の事業系一般廃棄物の扱いは自治体で異なるので、業者がどこで処分するかも確認しておいた方が安全です。
同一条件の相見積もりで数千円ズレる5つの原因
ここまでは「見積書の書き方の違い」の話。もう一段深く、業者側のコスト構造から見た数千円の差の原因を5つに整理します。うちで実際に3社比較して分かったことです。
- スタッフ雇用形態(自社正社員・パート・業務委託)による人件費の差
- 1日あたりの巡回件数の想定(1人5件回すか、3件で丁寧に回すか)
- 本社所在地から物件までの移動コスト(下町の業者が新宿を請けると割高)
- リネンの調達ルート(自社洗濯・リネンサプライ契約・都度洗濯代行)
- 保険・損害賠償への加入コスト(PL保険含む/含まないで数百円動く)
特に3つ目の移動コストは軽視されがちです。大田区の羽田寄りのワンルームで、23区北部の業者に打診したら基本料金は同じでも「出張費」として700円上乗せされた見積もりが返ってきた、ということがありました。同じ23区でも遠距離だと乗ってくる。
逆に、物件から徒歩10分圏内に営業所がある小規模業者は基本料金を安く出せる傾向がありました。移動効率が良い分、1日あたりの巡回数を増やせるからです。安さの理由が「近い」だけなら、品質と天秤にかける必要は薄い。ここは合理的な安さです。
安い業者が全部悪いわけではない
相見積もりを取ると、どうしても「一番安い業者は品質が低いのでは」と疑いたくなりますが、必ずしもそうではないです。うちが今メインで使ってる新宿のワンルーム担当業者は、当時3社見積もりで真ん中の価格でした。安さの理由は「移動距離が短い」「リネンを自社倉庫で回してる」の2点で、清掃品質は繁忙期でも安定してます。
逆に、極端に安い業者は要注意。基本料金だけ安く見せて、後から追加項目を積み上げるパターンをこれまで2回ほど経験しました。追加料金でよく揉めるポイントをまとめた記事にも書いた通り、契約書の追加料金条項を先に読んでおくのが自衛策になります。
相見積もりを取るときに、条件を揃えて複数社にまとめて依頼できる仕組みがあると、比較検討が一気に楽になります。ご自身の物件条件を入れて業者を比較したい方は、下のリンクから確認できます。
見積もり比較を1回で終わらせるコツ
比較で失敗するオーナーの多くは、業者ごとに違う条件を伝えてしまっています。A社には「リネン込みで」、B社には「リネンは自分で用意する前提で」と話してしまうと、そもそも比較不能。全社に同じ条件を提示するのが鉄則です。
自分が使っている発注テンプレを共有すると、伝える情報は次の6項目に絞ってます。物件所在地・広さ(㎡と間取り)・想定ゲスト数・リネン運用(業者手配か自前か)・ゴミ処理の希望・想定稼働頻度(月何回)。これだけ揃えて送れば、各社ほぼ同じ条件で見積もりが返ってきます。
見積もり依頼で伝える7項目のテンプレを作っておくと、複数社に投げるときのコピペで済むので楽です。うちは今このテンプレをGoogleドキュメントに1枚だけ保存してます。
見積書を横並びで見る自作フォーマット
3社以上に見積もりを取るときは、業者ごとのPDFのままでは比較しづらいので、自分でスプレッドシートに転記して横並びにしてます。列を「基本料金」「リネン」「ゴミ」「消耗品」「繁忙期割増」「深夜対応」「合計/月」に固定して、業者を行に並べる。これだけで数字の抜けが可視化されます。
この作業、正直めんどうです。3社なら30分、5社なら1時間はかかる。でも1回作れば、翌年の再見積もりのときも同じフォーマットで比較できるので、資産になる作業だと思ってます。
見積もり比較でよくある3つの落とし穴
数字を並べたつもりで、実は比較になっていない、というパターンを3つ紹介します。全部うちで実際にやらかしたことです。
落とし穴1: リネンの「込み」の定義がズレている
一番多いのがこれ。「リネン込み」と一言で言っても、シーツのみを指すのか、タオルまで含むのか、バスマットは別なのか、業者ごとに違います。浅草の1LDKで最初に契約した業者は「リネン込み」と口頭で言われて安心したら、実はフェイスタオル1枚分しか含まれておらず、ゲスト2名で泊まる部屋なのに毎回追加請求が来ました。
「リネン込み」と書かれていたら、必ず「セット内容の内訳」を聞く。シーツ・枕カバー・掛け布団カバー・バスタオル・フェイスタオル・バスマット、この6品目でそれぞれ何枚含まれているかを一覧で出してもらうのが確実です。
落とし穴2: 繁忙期の割増ルールがブラックボックス
基本料金だけ比べて安いと思ったら、GWや年末年始で30%の割増が入り、年間で見ると高い、というパターン。うちの新宿の部屋は稼働率が高いので、繁忙期割増の影響が年間コストに直結します。
見積もり段階で「繁忙期の定義は何月何日〜何日か」「割増率は何%か」を書面で確認する。口頭確認だと後から揉めます。編集部調べだと、業者によっては夏休み期間(7月下旬〜8月末)まで繁忙期扱いにするところもあります。
落とし穴3: キャンセル規定と最低発注件数
意外に見落とされるのがこれ。ゲストが直前キャンセルしたとき、清掃をキャンセルできるか、できたとしても何時間前までか。ここが業者で違います。安い業者ほど「前日18時以降のキャンセルは満額請求」というルールになっていることが多い。
あと、月額プランなら「最低利用回数」がないかもチェック。閑散期に月3回しか稼働しなかった月に、契約上の最低5回分を請求されたことが1度あります。契約書の細かい条項を読む30分で、年間数万円守れます。
最終的にどの業者を選ぶかの判断軸
見積もり比較で数字を揃えた後、最後の1社をどう選ぶか。うちが使ってる判断軸は3つあります。総額(年間コスト)、内訳の透明性、繁忙期の枠確保のしやすさ。この順番で優先度をつけてます。
ただ、正直この判断軸は物件のタイプで変わります。稼働率が高い都心のワンルームなら「繁忙期の枠確保」が最重要だし、稼働率がゆるい郊外の物件なら「都度払いで柔軟に」が正解になる。自分の物件がどのタイプかを先に整理してから見積もりを取る方が、選択に迷わないです。
あと、清掃品質の判断は見積書からはできません。テスト発注で1回だけ入ってもらい、報告書や写真、実際の仕上がりを見て決めるしかない。口コミの確認手順を整理した記事でも書いたように、Googleマップの評価と実際の仕事の質は、必ずしも一致しません。
1回テスト発注してから本契約する
見積もり比較で第一候補を決めても、いきなり年間契約は結ばない方がいい。まず1〜2回だけ都度払いで発注してみて、実際の作業品質・報告の丁寧さ・突発対応の柔軟さを見てから本契約に進むルートを取ってます。
これで過去2回、事前見積もりでは良さそうだった業者を切りました。理由はどちらも同じで、テスト回のときに「清掃後の写真が来ない」「連絡が翌日になる」というレスポンスの遅さ。金額より、レスポンスと安定感の方が長く付き合ううえでは効いてきます。
見積もり金額と別に、法令面で確認しておくこと
家主不在型で運営してる方は、住宅宿泊管理業者への委託が必要になるケースがあります。清掃だけを切り出す場合でも、衛生確保措置は事業者の責任なので、契約する清掃業者がその実務をどこまでカバーしてくれるかは、金額と別に確認すべき論点です。
観光庁の民泊制度ポータルサイトに掲載されている「住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)」に、宿泊者ごとのシーツや布団カバー等の交換、清潔な部屋の提供などの衛生確保措置が示されています。清掃業者に依頼するときも、これらの措置が実施されているかを事業者側が把握できる報告体制になっているかを確認しておいた方が安全です。詳細は観光庁の民泊制度ポータルサイトで最新情報を確認してください。
あと、ゴミの処理は廃棄物処理法上の事業系廃棄物として扱われる場合が多く、自治体で運用が異なります。清掃業者が「ゴミ処理込み」と言っていても、どの経路で処分するかを聞いておいた方が安心です。自治体の民泊窓口や清掃事務所に事前確認するのが確実です。
最後に、判断が分かれる論点
ここまで書いてきて、自分でもまだ答えが出ていない論点があります。それは「安い個人業者と、少し高いけど清掃会社を、稼働の規模でどう使い分けるか」という点です。
今のうちの3物件だと、新宿と大田区は個人業者、浅草は清掃会社に頼んでいます。個人業者は安いし融通が利くけど、体調不良で突然穴があくリスクがある。清掃会社は高いけど代替スタッフを回してくれる。この使い分けの正解は、稼働率や自分がどれだけ穴埋めに動けるかで変わる。
個人業者と清掃会社の使い分けをまとめた記事にも書きましたが、ここは自分の物件・自分の時間・自分のリスク許容度で答えが変わる領域です。相場感を掴んだうえで、自分の物件でどう組むかを一度考えてみてください。
見積もりを取る段階から迷っている方は、条件を入れて複数の清掃業者から比較できるサービスを最初のステップとして使ってみるのがおすすめです。まずは相場感を掴むところから始められます。
よくある質問
Q1. 相見積もりは何社取るのが適正ですか?
3社が現実的なライン。2社だと比較の基準が弱く、5社を超えると自分の管理コストが上回ります。うちも新規物件のときは毎回3社を基本にしてます。同じ条件を伝える手間を考えると、3社×30分で1.5時間が投下できる上限、という感覚です。
Q2. 一番安い業者を選んで大丈夫ですか?
安さの理由が説明できるなら大丈夫です。移動距離が短い、リネンを自社で回している、スタッフを固定担当にできる、といった合理的な理由があれば選んで問題ありません。逆に、他社より2,000円以上安いのに理由がはっきりしない場合は、追加料金の条件を契約書で必ず確認してから決めた方がいいです。
Q3. 見積もりのやり直しはどのくらい失礼ですか?
条件が変わったなら遠慮なく再依頼していいです。うちも、初回見積もりで想定ゲスト数を間違えて伝えたあと、正しい人数で取り直したことが何度もあります。業者側も、正確な条件で出せる方がミスマッチが減るので歓迎するはず。ただし、価格交渉のためだけの再見積もりは、関係性を悪くします。
Q4. 見積書に書かれていない追加料金は請求されますか?
契約書と見積書に明記されていない追加料金は、原則として請求根拠が弱いです。ただし、嘔吐や器物損壊など「通常清掃の範囲外」の作業は別料金となる旨が契約書に含まれていることが多いので、事前にその条項があるかを確認しておくのが安全。書面で残っていれば、後から揉めにくいです。
Q5. 見積もりから契約までの目安期間は?
依頼から見積書返信までが2〜5営業日、比較検討に1週間、テスト発注1〜2回で1〜2週間、本契約まで含めて全体で3〜4週間見ておくと現実的です。繁忙期直前だと業者側の枠が埋まっていて回答が遅れるので、余裕を持って動くのがコツ。新宿の物件を切り替えたときは、11月に動いて年末年始に間に合わせました。

