先日、確定申告の準備で去年の清掃費を集計したら、3物件で年間92万円ちょっと出ていました。新宿・浅草・大田区の3件で、月にならすと約7.7万円。数字を見て正直、うっとなりました。「これ全部自分でやったら、いくら残るんだろう」と。
で、実際にゴールデンウィーク明けの1週間、大田区の物件だけ自分で清掃を回してみた。結論から言うと、私の場合は続かなかった。ただ「絶対に外注が得」とも言えなくて、条件しだいで自分でやったほうが現金は残る、というのが正直な感想です。
この記事は、都内で3物件を運営する45歳・兼業オーナーの私が、外注費・移動費・洗濯・自分の時給まで全部を並べて、どこで損益が分岐するかを実額で試算した記録です。数字は自分の見積書と家計簿ベース。相場は編集部調べで、時期・地域・条件によって動きます。
この記事の要点
- 東京都心のワンルーム民泊清掃を外注すると、編集部調べで1回あたり3,500〜7,000円が一般的なレンジ(広さ・リネン込み有無・繁忙期で変動)
- 自分で清掃する場合の実費は、ワンルーム1回あたり洗剤・消耗品・移動費・洗濯代を含めて900〜1,500円程度に収まりやすい
- 差額は1回3,000〜5,500円前後。ただし自分の稼働時間はワンルームで2〜3時間かかるため、時給1,500円で計算するとほぼトントンになる帯がある
- 家主不在型の民泊は、住宅宿泊事業法第11条により登録を受けた住宅宿泊管理業者への委託が必要(清掃だけを別業者に切り出しても管理業者の責任は残る)
- 私の3物件だと、月10日稼働までなら自分でやる余地あり。月15日を超えると外注のほうが総合的に得、というのが実感
一社ずつ電話して枠を探すのが大変なら、条件を入れるだけで清掃業者を比較できる仕組みを試すのが早いです。私も今は複数社を横並びで見て、繁忙期の枠取りに使っています。
結論:私の3物件で試算すると、月10日稼働までなら自分でやる余地がある
先に答えを置きます。私の環境(都内3物件・自宅から各物件まで電車で20〜40分・平日は本業)で試算すると、1物件あたり月10日稼働くらいまでなら自分でやったほうが手取りが残ります。月15日を超えると、疲労と機会損失を織り込んで外注のほうが得になりました。
ただし、これはあくまで私の条件です。自宅と物件の距離、本業の時給、家族が手伝えるかで分岐点は簡単に動きます。特に効くのは移動時間。新宿の部屋は自宅から片道25分で往復1時間弱ですが、浅草の1LDKは往復で1時間半かかる。この30分の差が月10回積み重なると、5時間の消失です。
もう一つ、忘れがちなのが「予備の自分」問題。金曜の21時に翌朝チェックインの予約が入って、自分が飲み会にいたら詰みます。外注なら業者に振れる(振れないこともあるけど)。自分でやる運用は、常にバッファーの人間が要ります。
3物件の内訳と、私の運用スタイル
参考までに私の3物件を並べます。新宿のワンルーム(約25㎡・築15年・駅徒歩8分)、浅草の1LDK(約45㎡・分譲マンション・駅徒歩5分)、大田区羽田寄りのワンルーム(約28㎡・築20年・駅徒歩10分)。3件とも家主不在型で、住宅宿泊管理業者に管理を委託し、清掃は別枠で複数社に切り出しています。
2024年の平均稼働は3物件合計で月48日ちょっと。うち新宿が19日、浅草が16日、大田区が13日という感じでした。繁忙期(GW・お盆・年末年始・桜シーズン)と閑散期の差が大きく、閑散期の2月だけ見ると3物件合計で月28日まで落ちます。この稼働の偏りが、自分でやる/外注する判断を複雑にします。
外注した場合の実額:うちの見積書ベースで開示する
外注費は、ワンルームで1回3,500〜7,000円、1LDKで6,000〜10,000円あたりが、都内で私が受け取ってきた見積書のレンジです。相場観としては、くらしのマーケットの民泊清掃代行が2024年11月時点で1時間あたり5,000円程度という公表値もあり、私の実感ともほぼ揃います。
ただし、これは「清掃のみ」の目安。実際の請求書はもっと項目が多い。リネン代、ゴミ処理費、消耗品補充、繁忙期割増、深夜早朝の割増、鍵の受け渡し、報告写真の枚数、いろいろ乗ってきます。うちの浅草の1LDKだと、リネン込みで1回9,800円が実質請求です。
この内訳の見方は別記事で詳しく整理したので、見積書を読むときに何を確認するかは、民泊清掃業者の見積もりで必ず確認すべき7項目を参照してください。「基本料金だけ安く見せて後乗せする」パターンを避けるためのチェックリストです。
実際の月額:3物件・年間で92万円ちょっと
2024年の実績を並べます。新宿ワンルーム年間清掃費:228回×平均5,800円で約26.4万円。浅草1LDK年間:192回×平均9,800円で約37.6万円(リネン込み)。大田区ワンルーム年間:156回×平均5,300円で約28.3万円(リネン別途)。合計で92.3万円でした。
浅草の1LDKだけ突出しているのは、広さと繁忙期の家族連れ稼働が理由です。人数が多い予約は消耗品の消費が跳ね、リネンも4セット丸ごと交換になる。ここは自分でやると洗濯機を回す物理的な限界にぶつかりやすい部屋でもあります。
広さ別の相場感は民泊清掃をワンルームで頼むと1回いくら?広さ別の料金レンジを実例で比較にまとめてあります。自分の物件の見積もりが妥当かどうか、まずこれで感覚を掴んでから判断するほうが安全です。
自分でやった場合の実費:1回あたり900〜1,500円で回る
自分で清掃した場合の「現金で出ていく実費」は、ワンルーム1回あたり900〜1,500円に収まります。中身は洗剤・トイレ用品・スポンジ等の消耗品が200〜400円、コインランドリーまたは自宅洗濯のシーツ・タオル洗濯代が400〜700円、物件までの往復交通費が300〜500円。私の大田区物件でGW明けに実測した数字です。
この時点で「外注1回5,300円 − 自分でやる実費1,200円 = 差額4,100円が浮く」ように見えます。ここだけ見ると、自分でやったほうが得。でも、これは罠です。
抜けているのが、自分の時間コスト。ワンルーム1回の清掃を私が本気でやると、移動を除いた作業だけで2時間15分〜2時間45分かかります。ここに往復45分〜1時間半の移動を足すと、1回あたり3〜4時間が消える。この時間をどう評価するかで、答えが変わります。
私の作業を1回分、分単位で書き出してみた
大田区のワンルームで、GW明けの水曜午後に自分で清掃した記録です。11時開始、14時8分終了。作業時間は3時間8分。内訳はざっくりこう。
- 移動(自宅→物件、電車+徒歩):42分
- ゴミ回収と分別、ゴミ袋交換:18分
- ベッドメイクとリネン回収:24分(シングル1台+ソファベッド)
- 浴室・トイレの洗浄:36分
- キッチン・冷蔵庫・電子レンジ:22分
- 床の掃除機と拭き上げ、家具の埃取り:28分
- アメニティ補充と設備動作確認、写真撮影:14分
- 移動(物件→自宅、リネンをコインランドリーへ寄る):24分
体感で一番きつかったのが浴室。前泊が入浴剤を使っていて、追い焚き配管周りの残留に気づいたのが13時過ぎ。プロなら10分で終わる作業を、私は判断に迷って倍かかりました。この「判断コスト」が素人の一番の敵だと感じてます。
損益分岐の試算:時給いくらで評価するかで結論が変わる
自分の時間を時給いくらで置くかで、損益分岐は大きく動きます。私の物件で、ワンルーム1回あたりの外注コストを5,300円、自分でやる実費を1,200円、稼働時間を3時間として並べたのが下の表です。
| 自分の時給の置き方 | 3時間の機会コスト | 自分でやる総コスト(実費+時間) | 外注との差額(1回あたり) |
|---|---|---|---|
| 時給0円(趣味扱い) | 0円 | 1,200円 | +4,100円(自分でやるが得) |
| 時給1,113円(東京最賃・2024年10月) | 3,339円 | 4,539円 | +761円(ほぼトントン) |
| 時給1,500円 | 4,500円 | 5,700円 | −400円(外注が得) |
| 時給2,500円(本業の時間単価) | 7,500円 | 8,700円 | −3,400円(外注が明確に得) |
この表を見ると分かりやすいのは、東京都の最低賃金(2024年10月改定で1,113円)を時給の物差しに置いた瞬間、ワンルームでの損益差はほぼゼロに近づく点です。つまり「最賃レベルの時給しか自分の時間に払えないなら、自分でやってもいい」。それより高い時給を自分に払うなら、外注のほうが合理的、という結論になります。
私は本業の時間単価をおおむね2,500円で置いています。副業側の稼働に本業と同じ単価を要求するのは強気すぎる気もするので、間を取って1,500円で判断しています。この物差しで見ると、ワンルーム1件あたり月2〜5回までなら自分でやってもいい、それ以上なら外注、という線が引けました。
数字に出ないコスト:レビュー下落リスクと連泊回転
試算に乗せづらいのが、素人清掃で星が落ちるリスクです。私が最初に自分で清掃した頃、浅草の1LDKで髪の毛のクレームを2週間で3回もらいました。星4.5から星4.2まで落ちて、次の月の予約が20%減った。金額に直すと売上で4〜5万円の目減りで、清掃で浮いた分がここで消えます。
この体験から、レビュー影響を軽く見ると痛い目に遭う、と学びました。星が落ちてから戻すのに数か月かかる。改善の勘所は民泊清掃でゲストレビューの星4を星5に上げるには?改善ポイントを箇所別に整理にまとめてあります。
もう一つは連泊回転の物理的な限界。金曜チェックアウト→土曜チェックインが同じ日に来ると、ワンルームでも清掃バッファーは4時間欲しい。私一人で回すと、次の物件の清掃を潰します。この辺は民泊のチェックアウト後、清掃までに何時間確保すべき?連泊回転の現実的なスケジュールで整理しています。
電話で一社ずつ枠を探すより、条件を入れて複数社に一括で当てるほうが金曜夜の予約にも間に合いやすいです。私も繁忙期のバッファーとして使っています。
家主不在型は法規のガードがある:清掃だけ自分でも管理業者は必要
住宅宿泊事業法第11条の骨格
ここは自分で清掃したい人が見落としがちな点です。住宅宿泊事業法(民泊新法)では、家主不在型の場合、届出住宅の管理業務を登録を受けた住宅宿泊管理業者に委託しなければなりません(同法第11条第1項)。これは義務規定で、委託せずに家主不在型を運営することはできません。
ややこしいのは「管理業務」に清掃も含まれる点。清掃だけを別の民間清掃業者に切り出す運用は現場で普通に行われていますが、その場合でも全体の管理責任は登録住宅宿泊管理業者が負う、という整理になります。つまり自分で清掃を巻き取っても、管理業者との契約や委託関係がゼロになるわけではないんです。
この構造を勘違いすると、届出のときや実地検査でつまずきます。詳細は観光庁の民泊制度ポータルサイトと、届出先の自治体(東京23区は各特別区、それ以外は都道府県や保健所設置市)の窓口で最新情報を確認してください。運用は自治体ごとに条例で細かい差があります。
家主居住型なら自分で清掃してもいい、が現実的か
逆に、オーナーが同じ家に住みながら空き部屋を貸す家主居住型なら、管理業者への委託義務は原則発生しません(一般的な傾向です。1棟で複数室を大規模に貸す等の条件では変わります)。この形態なら、清掃を自分で回すのは制度上の障害が小さい。
ただし現実的に、自宅の一室を家主居住型で貸すオーナーが「清掃を自分でやる」のはごく自然で、そこにわざわざ損益分岐を計算する意味は薄い気もします。この記事の議論は、投資として物件を持っている家主不在型のオーナーが「委託先の清掃をどこまで自分に置き換えられるか」という文脈に主眼があります。
シチュエーション別に見た向き不向き
自分でやる運用が向いている人
ここまでの試算を踏まえて、自分で清掃するほうが得になりやすい条件を整理します。一つ目は、物件が自宅から徒歩10分以内にあること。移動時間がほぼゼロなら、時給の物差しが変わります。二つ目は、月の稼働が10日以下で、繁忙期がなだらかな物件であること。ピークで自分がパンクしない稼働カーブが条件です。
三つ目は、家族の協力があるか、パートナーと分業できること。「自分の時間だけ」で回すと、体調不良や急な予定で全てが止まります。家族が入れる二人体制なら、バッファー問題がかなり緩和されます。
四つ目は、レビュー星4.7以上を維持できる技術と根気があること。これはやってみないと分からない部分もある。最初の3か月は自分でやって、星が保てるか実験してから継続判断、という段階運用が現実的です。
外注に振り切ったほうがいい人
逆に、外注に振り切ったほうがいい条件も明確です。物件が自宅から車や電車で片道30分以上ある、月稼働が15日以上ある、本業の時間単価が2,000円以上、繁忙期に予約が集中する立地、この4つのどれかに当てはまるなら、私は外注をおすすめします。
特に見落とされやすいのが「本業の時間単価」です。会社員の給与を単純に労働時間で割った額ではなく、その時間を家族との時間や本業のパフォーマンス維持に回した場合の価値、まで含めて考えるべき数字。私は独身時代なら時給1,500円で置いていたと思いますが、40代の今は2,500円でも安いと感じてます。
外注に切り替える前提で相場全体を掴みたいなら、民泊清掃の相場・料金を徹底解説|広さ・頻度・エリア別の目安から入ると全体像が見えると思います。
私の実運用:3物件をどう振り分けているか
結局、私はどう回しているか。新宿ワンルームと浅草1LDKは完全外注です。稼働が多く、家族連れ予約も入る浅草はプロに任せる一択。新宿も稼働が多く、自宅から近くはあるものの、本業のピーク期に自分で回す余裕がない。
大田区のワンルームだけ、閑散期の2月と6月は自分で清掃を回します。月稼働7〜10日程度で、平日の午前に本業のリモート日を活用して入れる。この物件だけ年間で6万円ほど清掃費が浮いてます。ただし繁忙期の8月と12月は全部外注に戻します。無理をすると星が落ちるので。
この「閑散期だけ自分でやる」運用は、外注業者側からすると迷惑な話です。閑散期に切られて繁忙期に戻ってこられても、業者は枠を残しておきづらい。だから普段から取引のある業者と正直に会話をして、「月ベースで最低◯回はお願いする」というミニマム契約に切り替えるのが現実的でした。この辺の交渉はドライになりすぎず、業者側の事情も汲むほうが長い目で得だと感じてます。
読者に残しておきたい問い
ここまで数字を並べてきましたが、正直、自分の時給を何円で置くかは、答えのない問いです。副業の稼働に本業と同じ単価を要求するのは強気だし、最低賃金レベルで置くのは自分への評価が低すぎる気もする。この物差しは各自の生活設計と価値観で決めるしかない領域です。
もう一つ、私が今も迷っているのが「自分で清掃を続けることで、業者への見る目が養われる」という副産物をどう評価するか。実際、自分で3か月清掃を回した後、業者の作業品質を見る解像度が上がりました。「この人はこの工程を飛ばしてる」がわかる。この学習コストを差し引いた実質の損得は、たぶん試算表よりも小さい。
だから最初の1〜2回は自分でやってみる、というのは、外注に振り切る前提のオーナーにもすすめたい実験です。損得を超えた学びがあります。
試算だけで動きが決まらないときは、実際に複数の業者から見積もりを取って、自分でやる場合の数字と横に並べるのが早いです。数字は動いてから見るほうが具体的に判断できます。
よくある質問
Q1. 家主不在型でも清掃だけは自分でやっていいですか?
実務では清掃だけを別業者や自分で回す運用も見られますが、住宅宿泊事業法第11条により、家主不在型は登録を受けた住宅宿泊管理業者への管理業務委託が義務付けられています。清掃は管理業務に含まれるため、切り出しても管理業者の責任は残る、という整理が一般的です。実際にどこまで自分で担ってよいかは、契約している管理業者と、届出先自治体の窓口で必ず確認してください。
Q2. 自分で清掃するとレビューは本当に落ちますか?
必ず落ちるわけではないですが、経験のない状態でいきなり回すと、髪の毛・水回りの拭き残し・シーツのシワあたりで指摘が入りやすいです。私自身、浅草の1LDKで最初の3週間で3回のクレームを受けました。落ちてから戻すのに数か月かかるので、リスクを織り込む必要があります。星4.7以上の物件ほど、素人清掃のダメージは大きく出ます。
Q3. 自分で清掃する場合、リネンはどうしますか?
選択肢は3つです。自宅で洗濯する、コインランドリーで回す、リネンサプライを継続する。稼働日数が月10日を超えると、自宅の洗濯機だけでは物理的に回りません。私は大田区物件を自分で回すときも、シーツとバスタオルだけはリネンサプライを併用しています。判断の目安は月間稼働日数別のシミュレーションが参考になります。
Q4. 副業として民泊清掃を請けるのはアリですか?
自分の物件を回した経験を活かして、他人の物件を清掃する副業として展開する人もいます。ただし、単発の請負でも安定稼働を求められる仕事なので、平日日中に動けない兼業オーナーには向きません。参入するなら道具・案件の取り方・稼働時間の目安を先に把握しておくと、自分に合うか判断しやすいです。
Q5. 外注に切り替えるベストなタイミングはいつですか?
私の実感では「月稼働が10日を超えて、かつ星評価が4.7を切り始めた瞬間」です。稼働が伸びるほど機会損失が跳ね、星が落ち始めると売上のダメージが直接返ってきます。この2つが同時に来たら、迷わず外注に振ります。逆に閑散期でどちらも余裕があるなら、自分で回して勘所を掴む時間にする価値もあります。
Q6. 清掃業者の見積もりは何社くらい取ればいいですか?
私は3社を基本にしています。1社だけだと相場感が掴めず、5社以上だと連絡と比較の手間が大きすぎる。3社を横並びで見て、料金体系・繁忙期対応・報告写真の運用・キャンセル規定を比較するのが、時間対効果として一番良かったです。マッチングサイト経由なら1回の入力で複数社から返信が来るので、そこから絞る流れも効率的でした。

