民泊清掃を月額固定にできる?回数課金との損得を3物件で試算

電卓と清掃道具を前に月額プランと回数課金を比較検討するオーナーの手元 清掃の相場・費用

金曜の22時、会社帰りに新宿のワンルームに立ち寄って、机の上に置いてある清掃業者の請求書を見返していました。11月分、6回で42,000円。10月は9回で63,000円。月によって振れ幅が2万円。「これ、月額いくらの定額にしたほうが読みやすいのでは」と思ったのが、今回の記事を書くきっかけです。

民泊清掃の料金プランは、大きく分けると「回数課金(都度払い)」と「月額固定」の2つ。実は最近、東京の清掃業者から「月額プランに切り替えませんか」と提案されるケースが増えています。稼働が安定してきた物件では検討する価値がある、と自分は思ってます。

ただ、話を聞いてみると、月額固定は稼働日数の見立て次第で得にも損にもなる。実際に自分の3物件で試算し直してみたら、月額が得な物件と回数課金のままがいい物件が分かれました。この記事では、その計算の中身と、契約前に見るべき落とし穴を整理します。

この記事の要点

  • 民泊清掃の料金プランは主に「回数課金」と「月額固定」の2種類で、月額固定は物件の月間稼働日数がおおむね15泊以上で回数課金より安くなる傾向がある(編集部調べ、東京・ワンルーム条件)
  • 都内ワンルームの回数課金は編集部調べで1回3,500〜7,000円、月額固定は1物件あたり4〜8万円程度の提示が多い(広さ・リネン範囲・繁忙期条件で変動)
  • 月額固定のメリットは「予算が読める」「繁忙期の枠が確保しやすい」「経理処理が楽」の3点、デメリットは「稼働が落ちた月に固定費が重い」「上限回数・オプション扱いの契約条項に注意」
  • 損益分岐は稼働日数だけでなく、リネン込みか別か・繁忙期割増の扱い・キャンセル時の相殺可否で動くため、必ず契約書で条件を潰してから切り替える
  • 3物件同時に同じプランに寄せる必要はない。稼働率の高い部屋は月額固定、稼働が読めない部屋は回数課金、というハイブリッドが現実解

一社ずつ電話して見積もりを取り直すのが大変であれば、条件を入力するだけで月額プラン対応の清掃業者も比較できる見つける君を試すのが早いです。

民泊清掃で「月額固定プラン」は本当に存在するのか

結論から言うと、東京の民泊清掃業者では月額固定プランを用意している会社が増えていて、2024年頃から自分の周りでも提案が目立つようになりました。ただし「純粋な月額固定」より、「月額固定+上限回数」のハイブリッドが多いです。

民泊運営代行の世界では、料金体系として「成果報酬型」「月額固定型」「複合型」の3つが一般的で、月額固定型は5〜10万円程度に清掃料が含まれるパターンが多いと紹介されています。清掃だけを切り出した月額固定も、これに近い水準で組まれています。

浅草の1LDKで実際に提示された月額プランは、「月額7.5万円で月10回まで込み、11回目から1回5,000円加算、繁忙期は上限回数を+2回に緩和」という内容でした。純粋な定額ではなく、実質的にはサブスクに近い設計です。

なぜ業者側が月額固定を勧めてくるのか

業者の内情を聞くと、月額固定を勧める理由は3つあるようです。1つ目、売上が読める。2つ目、繁忙期のシフトを組みやすい。3つ目、キャンセル・急な稼働減の影響を受けにくい。要は、業者側にとってもキャッシュフローが安定する仕組みです。

裏を返せば、オーナー側は稼働が読めない月に「使わなかった分」を負担するリスクを取っている。ここが損得の分かれ道。うちの新宿の部屋で試算した結果、月間8泊を切る月が3回以上あった場合、月額固定は損になっていました。

回数課金と月額固定、料金レンジの実勢

まず、東京の実勢を整理します。編集部調べ・2025年時点・東京23区内の一般的な範囲であって、業者・エリア・繁忙期で変動します。特定業者の優劣を言うものではありません。

物件タイプ回数課金(1回あたり)月額固定(1物件・上限あり型)備考
ワンルーム25㎡3,500〜6,000円3.5〜6万円/月10回までリネン別が多い
1LDK 45㎡5,500〜9,000円6〜9万円/月10回までリネン込み提示も出る
2LDK 60㎡以上8,000〜13,000円9〜13万円/月10回まで繁忙期上限緩和が交渉ポイント

ここでの落とし穴が2つ。1つ目、月額固定は「基本回数」で単価が決まっていて、上限を超えたら1回あたり通常より少し安い加算料金が発生する契約が多い。2つ目、リネン費用が月額に含まれるか別かで、体感の総額が1〜2万円ズレます。

広さ別のレンジは、以前まとめた東京の民泊清掃1回あたりの実勢価格と読み合わせると、月額換算したときの妥当性を見やすくなります。

損益分岐を3物件で試算する

結論、うちの3物件で試算した損益分岐点は、ワンルームで月13泊前後、1LDKで月11泊前後、2LDKで月10泊前後でした。ここより稼働が高いと月額固定、低いと回数課金が得になる、というのが自分の物件での目安です。

新宿ワンルーム25㎡の試算

回数課金は1回4,500円(リネン別1,500円で合計6,000円)、月額固定は月45,000円で10回まで込み・リネンは実費という提示。ここに月間稼働別の総額を並べます。

月間稼働回数課金合計月額固定合計差額
8泊48,000円57,000円+9,000円(月額損)
12泊72,000円63,000円−9,000円(月額得)
16泊96,000円93,000円−3,000円(ほぼ均衡)
20泊120,000円123,000円+3,000円(回数課金得)

不思議に見えるかもしれないですが、稼働が上限(10回)を大きく超えると、月額固定でも加算料金が積み上がって回数課金と近づく設計になっています。上限がある月額プランでは、稼働が跳ねすぎると得のピークを過ぎることがある。ここを勘違いすると危ないです。

浅草1LDK 45㎡の試算

回数課金は1回7,000円(リネン込み)、月額固定は月75,000円で10回まで、11回目以降1回6,000円という提示。ここは訪日客のGW・お盆・年末年始で稼働が18〜22泊まで跳ねる月と、閑散期に7〜9泊まで沈む月が混在する物件です。

試算したら、稼働11泊で回数課金77,000円 vs 月額固定75,000円、稼働12泊で84,000円 vs 75,000円と月額が有利になる。20泊まで行くと回数課金140,000円 vs 月額135,000円(75,000+10回×6,000)でわずかに月額。年間で均すと月額固定が3〜5万円得、というのが自分の試算結果でした。

大田区ワンルーム28㎡の試算

大田区の物件は、羽田寄りで一時滞在の連泊が多く、月間の清掃回数が実は少ない。稼働は良いけど連泊が長いので、清掃回数だけ見ると月6〜9回に収まる月がほとんどです。

この部屋で月額固定を試算したら、明確に損。回数課金1回5,000円で月35,000〜45,000円のところ、月額固定だと55,000円に上がる。連泊が長い物件は月額固定に向かない、という一つの目安です。この物件は今も回数課金のまま。

ちなみに、稼働率と料金プランの相性については定額制と都度払いの比較を稼働率別に詳細試算した記事で、月間5〜25泊まで刻んで検証しています。

月額固定が得になる物件の条件

3物件でやってみて見えたのは、月額固定が得になる物件には共通条件がある、ということです。逆に言うと、この条件を満たさない物件で月額固定に飛びつくと確実に損する。

  • 月間稼働が15泊以上で安定している(閑散期でも10泊を割らない)
  • 1泊〜3泊の短期滞在が中心で、清掃頻度が高い
  • 繁忙期(GW・お盆・年末年始)に予約が集中し、枠取りが難しい
  • 清掃業者を1社に集約したい(管理コストを下げたい)

特に4つ目「1社に集約したい」は経理面で効きます。回数課金だと請求書の枚数と金額がバラつくが、月額固定は毎月同額で計上できる。うちのように本業が別にある兼業オーナーだと、freeeで自動処理しやすくなるだけでかなり楽です。

逆に、稼働が読めない開業初年度の物件、連泊主体の物件、月8泊以下の低稼働物件は月額固定に向かない。うちも1件だけ月額に切り替え、2件は回数課金のまま残しています。この使い分けはずっと悩みどころで、正直、今も答えは揺れています。

先に、自分の物件がどのプランに向いているか感覚を掴みたい人は、条件を入力するだけで月額プラン・回数課金の両方に対応した清掃業者を比較できる仕組みを試すのが手っ取り早いです。無理に切り替える必要はなく、見積もりを取ってみて数字で判断すればいい。

月額固定プランで契約書のここを確認する

月額固定に切り替えるとき、契約書で必ず潰しておくポイントが6つあります。ここを詰めずにサインすると、後から「聞いてなかった」で揉めます。うちも1度、繁忙期の割増を月額に含めるか確認せずに契約して、GWに追加請求が来ました。以来、必ず書面で確認しています。

6つのチェックポイント

1つ目、月あたりの上限回数と、超過時の1回単価。2つ目、リネン費用が月額に含まれるかどうか。3つ目、繁忙期(GW・年末年始・お盆)に割増があるか、それとも月額に含まれるか。4つ目、キャンセル発生時に「未使用回数」の翌月繰越が可能か。5つ目、契約期間と中途解約の条件(何ヶ月前予告か、違約金の有無)。6つ目、深夜・早朝の対応と嘔吐・汚損時の実費請求ルール。

この6つのうち、特に見落とされがちなのが4つ目「未使用回数の繰越」です。月10回込みで7回しか使わなかったとき、残り3回が翌月に繰り越せるプランと、丸々消える(消滅する)プランがある。前者を選ばないと、閑散期に払い損が出ます。

そして6つ目。嘔吐や汚損の追加清掃は月額の外扱いで実費、というのが一般的な設計です。月額固定でも「基本清掃の範囲外」は必ず発生する、と覚えておいてください。

契約書ひな型で見ておくべき条項

もう1つ、月額固定は業務委託契約の期間が「1年更新」の設計になりがちで、途中で品質が落ちても抜けにくい構造になっています。3ヶ月前予告で解約可、といった条項を入れておかないと、業者を切り替えたいのに切り替えられない期間が発生します。

契約書全体で見ておく条項は、清掃契約に入れておくべき条項をひな型付きで整理した記事にまとめています。月額プラン特有の落とし穴も、この中で扱っています。

法的な清掃頻度と月額プランの整合性

結論、住宅宿泊事業法(民泊新法)は「清掃を月に何回」と回数で縛っていません。宿泊者の衛生確保のため、床面積に応じた宿泊人数の管理や、清掃・換気を適切に行うことが事業者の義務として定められています。

観光庁の民泊制度ポータルサイトでも、事業者は宿泊者の衛生の確保を図るため、届出住宅について適切な清掃・換気などの措置を講じることが求められていると案内されています。つまり、月額固定・回数課金いずれのプランでも、宿泊者ごとの清掃を適切に実施できていれば法的には問題ないと解釈できます。

ただし、細かい運用(連泊時の交換頻度、リネン交換のタイミング、消毒の程度)は自治体・保健所によって指導内容が異なる場合があります。切り替え前にお住まいの自治体の民泊窓口に、運用中の清掃サイクルで問題ないかを一度確認しておくと安心です。

清掃頻度そのものの法的な位置づけは、以前まとめた住宅宿泊事業法で求められる清掃頻度の最低ラインを参考にしてください。月額プランを設計するときも、この最低ラインを下回らないことは絶対条件です。

月額固定で失敗した実例と学び

正直に書きます。1回目の月額切り替えで、うちは失敗しました。2023年秋、新宿のワンルームで月額45,000円のプランに乗り換えた直後、Airbnbのアルゴリズム変更なのか、その物件の予約が急に落ちて、10月に稼働5泊、11月に稼働7泊、という月が続いた。3ヶ月間で15,000円くらい払い損が出た計算です。

教訓は2つ。1つ目、月額固定を決めるときは「直近3ヶ月の稼働」ではなく、「過去12ヶ月の稼働の中央値」で判断する。1つ目の失敗は、コロナ後の反動で稼働が跳ねていた3ヶ月をベースに切り替えたのが原因です。

2つ目、初回契約は3ヶ月お試し、その後長期に切り替え、という条件を交渉する。3ヶ月試して合わなかったら回数課金に戻せる条項が入っていれば、失敗しても傷が浅い。うちは今、この条件で1LDKだけ月額固定で運用しています。

切り替えの手順

実際に切り替える手順は、まず過去12ヶ月分の清掃回数と請求額をExcelに落とす。次に、現業者と別業者にそれぞれ月額プランの見積もりを取る。3社比較して、上限回数・繰越・繁忙期割増・解約条件の4項目で条件比較表を作る。この3ステップを踏むだけで、判断精度は明らかに上がります。

見積書の内訳を見比べるとき、安く見える提示でも隠れコストが乗っているケースがあります。月額プランでは特に「基本料金の外」の項目を洗い出しておくと安全です。

3物件を月額と回数課金で使い分ける現実解

結論、うちは3物件を全部同じプランに寄せていません。浅草1LDKだけ月額固定、新宿ワンルームと大田区ワンルームは回数課金のまま。これがいまの落とし所です。

物件によって稼働のクセが違うから、当たり前と言えば当たり前。ただ、この当たり前を数字で見える化しないと「なんとなく統一したほうが楽」に流されてしまう。自分もそうでした。

物件月間稼働の中央値連泊比率選択年間差額の見立て
新宿ワンルーム約11泊低い回数課金月額比+約2万円節約
浅草1LDK約15泊月額固定回数比−約4万円節約
大田区ワンルーム約8泊高い回数課金月額比+約6万円節約

使い分けのデメリットもあります。業者が別々になると、鍵の管理、緊急時の連絡先、備品発注の窓口がバラける。うちは3物件それぞれに違う清掃業者を使っているので、繁忙期には管理が地味に大変です。

年間の総額で見た本当のコストは、3物件・稼働率70%で試算した年間支出の記事で全部公開しています。月額固定と回数課金のミックスで、うちがどれくらい払っているかの内訳もそちらで見られます。

月額固定に切り替えるべきかの判断チェックリスト

結論、以下のうち3つ以上に「はい」と言えるなら月額固定を検討する価値があります。逆に半分以下なら、まだ回数課金のままでいいと思ってます。

  • 過去12ヶ月の月間清掃回数の中央値が10回以上あるか
  • 閑散期でも月8回を下回らないか
  • 繁忙期に清掃業者の枠が取れず困った経験があるか
  • 清掃業者を1社に集約して経理を楽にしたいか
  • 予算の予測精度を上げたい理由があるか(税務・資金繰り)
  • 3ヶ月お試し期間の条件が交渉できそうか

逆にNGサインが2つあります。1つ目、直近3ヶ月だけ稼働が跳ねている場合。反動で落ちるリスクを織り込めていないので危ない。2つ目、清掃業者を今切り替えたいくらい品質に不満がある場合。月額固定にすると1年ロックインされて動きにくくなります。

月額プランの前に業者そのものを見直すべきかも、と感じる場合は先に業者選定を片付けたほうが安全です。順番を間違えると、合わない業者に長期契約で縛られて後悔します。

ここまで読んでも、自分の物件が月額と回数課金のどちらに向いているかは、実際に相見積もりを取らないと数字で判定できません。まずは無料で複数社の月額・回数課金プランを取ってみて、Excelで並べるところから始めるのが現実的です。

よくある質問

Q1. 月額固定プランは東京の民泊清掃業者ならどこでも用意していますか

いいえ、全業者が用意しているわけではありません。編集部調べでは、複数物件を扱う中堅以上の清掃代行会社や、運営代行を兼ねる業者が月額プランを提示することが多いです。地域の個人業者や単独稼働のフリーランスは回数課金のみのケースが多く、月額を希望する場合は事前に確認が必要です。

Q2. 月額固定は本当に安くなるのですか

物件の稼働状況と契約条件によります。うちの3物件で試算した限り、月間清掃回数の中央値が10回以上・閑散期でも8回を下回らない物件では月額固定が回数課金より安くなる傾向がありました。逆に稼働が読めない、または連泊主体で清掃回数自体が少ない物件では、月額固定は割高になります。必ず過去12ヶ月分の実績で試算してから判断してください。

Q3. 月額プランの上限回数を超えたらどうなりますか

多くの契約で、上限を超えた分は1回あたりの追加料金として請求されます。追加単価は通常の回数課金より1〜2割安いことが多いですが、業者によって設計が違います。契約書で「上限回数」「超過時の単価」「繁忙期の上限緩和有無」の3点を必ず書面で確認してください。

Q4. 未使用回数は翌月に繰り越せますか

プラン次第です。翌月繰越が可能なプランと、その月で消滅するプランの両方があります。閑散期の払い損を避けたいなら、翌月繰越(一部でも可)の条項が入っているプランを選ぶのが安全です。契約前に必ず書面で確認し、口頭の合意だけで進めないでください。

Q5. 月額固定プランで法的な清掃頻度の義務は満たせますか

住宅宿泊事業法は清掃頻度を「月何回」で縛っていません。宿泊者ごとの清掃・シーツ交換など衛生確保の措置を適切に実施できていれば、月額固定・回数課金いずれのプランでも法的には問題ないと解釈できます。ただし、細部の運用は自治体・保健所の指導により異なる場合があるため、契約前にお住まいの自治体の民泊窓口に一度確認することを推奨します。

Q6. 3物件を運営していますが、全部同じプランに揃えるべきですか

揃える必要はありません。うちは浅草1LDKだけ月額固定、新宿・大田区のワンルームは回数課金、というハイブリッド運用です。物件ごとに稼働のクセ・連泊比率・繁忙期の影響度が違うので、それぞれに合ったプランを選ぶのが結局は一番コストが下がります。管理は多少煩雑になりますが、年間十数万円の差になることもあるので、まずは物件単位で試算してから判断してください。

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