新宿のワンルームで清掃業者と月額の定額契約を組んで、正直これは失敗したと思った月がある。2024年の2月、稼働が伸びなくて泊まりが月に4件しか入らなかったのに、清掃費は約束の月額をまるまる払った。1件あたりに割ると1回1万円超え。都度払いなら4件×5,500円で終わっていた話だった。
逆の月もある。GW前後、浅草の1LDKで9泊連続の回転が入った週、都度払いの単価だとその月だけで清掃費が跳ね上がった。「定額にしておけばよかった」と、レビューの返信を書きながら思った。この記事はその両方の失敗から書いてます。
都内で3件(新宿ワンルーム25㎡、浅草1LDK45㎡、大田区ワンルーム28㎡)を兼業で回しているオーナーとして、定額制と都度払いのどっちが得なのかを、稼働率別に自分の見積書ベースで整理します。結論だけ先に言うと、月10泊が分岐点でした。
この記事の要点
- 定額制と都度払いのどちらが得かは月間稼働日数で分岐する。編集部調べで、東京都心のワンルーム帯だと月10泊前後が損益分岐の目安(物件広さ・繁忙期割増・契約内容で変動)
- 都度払いはワンルームで1回4,000〜7,000円程度が実勢レンジ、1LDKで6,000〜10,000円程度(2025年時点・東京・編集部調べ)
- 定額制は「清掃回数上限あり」「上限超過は都度加算」など条件が業者ごとに大きく違うため、契約書の細目確認が必須
- 住宅宿泊事業法(民泊新法)は宿泊者の衛生確保として定期的な清掃を義務付けており(厚生労働省令)、契約形態を問わず清掃頻度を落とすことはできない
- 稼働が読みにくい物件は都度払い、繁忙期に枠が確実に欲しい物件は定額制、が基本方針。ただし業者側の繁忙期対応条項を必ず読む
先に一つ。ここから先の相場感は自分の3物件で受け取った見積書と、公開されている業者サイトから編集部で集めた範囲の話です。地域・広さ・繁忙期の取り方・リネンの扱いで数字は動くので、金額はレンジで読んでください。
定額制と都度払いの違いを、契約書のどこで見るか
料金体系を比べる前に、そもそも何が「定額」で何が「都度」なのかを揃えておきたい。ここが業者によってバラバラで、同じ「月額固定」と書いてあっても中身は違います。
定額制は月額いくらで清掃を包括するタイプ。ただし多くの業者で「月◯回まで」の上限がついていて、上限を超えた分は1回◯円で加算される。完全に無制限の定額はほとんど見たことがない。
都度払いはターンオーバー清掃1回いくらの積み上げ。稼働がゼロなら請求もゼロだが、繁忙期は割増(+500〜1,500円/回)が乗ることが多い。契約書に「繁忙期割増の適用月」がどう書いてあるかを見ます。
契約書で最低限見る5項目
- 定額の対象範囲(何回まで/何が含まれるか、リネン・ゴミ処理・消耗品補充は別料金か)
- 上限超過時の単価(本来の都度単価より高いことがある)
- 解約通知の期限(1ヶ月前・2ヶ月前など)
- 繁忙期割増の月と条件(GW・年末年始・お盆などの定義)
- 未稼働月の減額・返金の有無(多くの定額制は減額なし)
新宿の物件で最初に定額契約を切ったとき、この5番目を読み飛ばしていた。閑散期の返金はないと契約書の後半にあって、後から気づいた。契約書は面倒でも通して読んだほうがいい、と今でも思ってます。
都度払いの相場と、実際の請求のブレ
都度払いはワンルームで1回4,000〜7,000円が東京の1回あたり料金の実勢レンジ(2025年時点・編集部調べ)。うち大田区の28㎡は5,500円、新宿の25㎡は6,000円で回しています。リネンは業者持ちの実費請求。
浅草の1LDKは1回8,500円。1LDKだと6,000〜10,000円のレンジで、45㎡を超えるあたりから+1,000円くらい追加になる印象。ただ、これはあくまで自分が取っている見積書での話で、駐車場代・鍵の受け渡し方法・ゴミの持ち帰りで前後します。
都度払いで月額がどう動くか
| 月間稼働(泊数=清掃回数) | 新宿ワンルーム(6,000円) | 浅草1LDK(8,500円) | 大田区ワンルーム(5,500円) |
|---|---|---|---|
| 5泊 | 30,000円 | 42,500円 | 27,500円 |
| 10泊 | 60,000円 | 85,000円 | 55,000円 |
| 15泊 | 90,000円 | 127,500円 | 82,500円 |
| 20泊 | 120,000円 | 170,000円 | 110,000円 |
| 25泊 | 150,000円 | 212,500円 | 137,500円 |
この表はリネン・消耗品を含まない基本清掃だけの金額。実際は月に+5,000〜15,000円くらいリネンや補充が乗る。都度払いの怖さは繁忙期の跳ね上がり方で、25泊入る月は本業の給料日前と重なるとキャッシュが厳しい月がある。
都度払いは「稼働と連動して支払いが動く」のが安心材料であり、同時に見通しの立てにくさでもある。自分は稼働が読めない物件(新宿の物件は季節変動が大きい)は都度に寄せてます。
定額制の相場と、想定より高くつく落とし穴
定額制の相場は編集部調べで、ワンルーム月10回想定で6〜8万円(民泊清掃の相場を広さと頻度で整理した記事も参考になります)、1LDK月10回想定で8〜11万円あたり。単純計算で1回あたり6,000〜11,000円になり、都度払いの上限に近い水準です。
じゃあ定額のメリットは何かというと、繁忙期割増が乗らないことと、業者側の稼働枠を確保できること。GW前に「今月2件しか受けられません」と言われる悲劇を避けられる。これは大きい。
定額制で見落としがちなコスト
- 上限超過時の追加単価が都度より高いケース(例:上限は8回で月7万円、9回目以降は1回9,000円など)
- 定額の中に「軽度清掃のみ」の指定があり、深掘り清掃は別料金
- 解約通知が2ヶ月前縛りで、切り替えたい月に切れない
- 契約したエリア外(別区の物件)は別契約になる
浅草の1LDKで定額契約を試したとき、深掘り清掃の別料金設定を見落とした。3ヶ月に1回、冷蔵庫の裏や換気扇の分解清掃で+15,000円がついた。それを含めると想定より月平均で+5,000円くらい上振れした感覚です。
定額の相場を1回あたりに割り戻したとき、都度単価より高く見えることが多いのは、この繁忙期枠取り分と、業者側の売上ブレを吸収する保険料が乗っているからだと理解してます。
自分の物件の稼働で計算してみたいけど、都内の業者の見積もりを一社ずつ電話で取るのは正直しんどい、というオーナーは、条件を入れるだけで比較できるマッチングを試すのが早いです。
稼働率別の損益分岐点を、3物件の実額で試算
ここが本題。新宿ワンルーム(都度6,000円 / 定額月10回まで70,000円・超過1回7,500円)を例に、月間稼働別で比較します。数字は自分の見積書と、他社2社から取った条件をならしたモデル。
| 月間稼働 | 都度払い合計 | 定額制合計 | 得な方 |
|---|---|---|---|
| 5泊 | 30,000円 | 70,000円 | 都度払いが40,000円得 |
| 8泊 | 48,000円 | 70,000円 | 都度払いが22,000円得 |
| 10泊 | 60,000円 | 70,000円 | 都度払いが10,000円得 |
| 12泊 | 72,000円 | 85,000円※ | 都度払いが13,000円得 |
| 15泊 | 90,000円 | 107,500円※ | 都度払いが17,500円得 |
| 20泊 | 120,000円※ | 145,000円※ | 都度払いが25,000円得 |
| 繁忙期20泊(割増込) | 138,000円 | 145,000円 | 定額が7,000円得 |
※定額の12泊以降は上限超過(10回まで)で1回7,500円加算。都度の20泊は繁忙期割増+1,500円/回で試算。※がついていない行は通常月。
この物件のモデルだと、通常月は稼働20泊まで都度が有利。連泊回転のスケジュール感はチェックアウト後に清掃までどれだけ時間を確保するかで書いた通り、ワンルームで4時間バッファが最低ラインです。定額が逆転するのは、繁忙期割増が乗る月に高稼働する場合だけでした。数字だけ見ると都度圧勝に見える。
ただ、これはあくまで「業者が繁忙期でも枠を空けてくれる前提」の話。実際には繁忙期に都度で新規発注しようとしても、業者側が定額顧客を優先して枠が取れないことがある。そのリスクをどう見るかで判断が変わります。
自分の場合、2023年のGWに大田区の物件で枠が取れず、駆け込みで別業者を探した結果、通常より+2,000円/回で泣く泣く発注した経験がある。1週間で7回転あったので単純計算で+14,000円の余計な出費。これを避けるだけでも定額の意味はある、と繁忙期の直前に思い知った。
つまり損益分岐は表面的な単価だけでなく、繁忙期に枠が取れなかったときの逸失利益(清掃が遅れて次のゲストを断るリスク)まで含めて考えるべきです。1泊15,000円のワンルームで1回断れば、清掃差額の10,000円くらいはあっさり吹き飛ぶ。
浅草の1LDKだと分岐点はどう動くか
浅草の1LDK(都度8,500円 / 定額月10回まで95,000円)で同じ試算をすると、10泊で85,000円 vs 95,000円で都度が10,000円得。ワンルームと同じ傾向で、通常月10泊前後が実質分岐です。
1LDKで定額が優位になるのは、月15泊以上が3ヶ月連続する物件。年間で見て稼働率50%を超えて安定するなら、定額で枠を確保する意味が出てきます。
稼働率で見るタイプ別のおすすめ
数字だけで割り切れないので、物件のタイプで整理してみます。うちの3件はこの分類で全部違うタイプに当てはまってます。
| 物件タイプ | 月間稼働の目安 | 推奨形態 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 稼働不安定(季節変動大) | 5〜15泊で変動 | 都度払い | 閑散期の空払いを避ける |
| 安定稼働(観光地立地) | 毎月15〜25泊 | 定額制 or ハイブリッド | 繁忙期の枠取り確保 |
| 高稼働・週末集中 | 週末15泊+平日5泊 | 都度払い(繁忙期割増を許容) | 定額の上限を超えやすい |
| 新規開業3ヶ月以内 | 読めない | 都度払い | まず稼働データを取る |
| 複数物件を同エリア | 合算で50泊+ | 定額(複数割引交渉) | まとめ発注で単価下げ交渉 |
新宿の物件は季節変動が大きくて、都度払いで運用中。浅草は年間通して稼働が高いので定額に切り替えた。大田区の羽田寄りは平日出張需要で意外と稼働が読みやすく、都度払いだけどたまに10泊単位でまとめて割引をもらう形にしてます。
稼働率で判断するとき、直近3ヶ月ではなく直近12ヶ月の平均を見るのが大事。3ヶ月だと繁忙期or閑散期のどちらかに偏った数字になる。自分は月次で稼働日数と清掃回数をスプレッドシートで記録していて、12ヶ月ならしてから契約形態を検討するようにしてます。
ハイブリッド契約という選択肢
最近増えているのが、基本料金(月2〜3万円)+ 1回単価という半定額型。稼働ゼロの月でも基本料金だけは払うが、都度単価は通常より安くなる。閑散月と繁忙月の差を平準化したいオーナーに合う設計です。
自分は浅草でこれに近い形(基本25,000円+1回6,500円)を提案されて、通常の定額より使い勝手がよかった。ただこの形は業者側にとって収益予測が難しいらしく、提案してくれる業者は限られてます。
見積もり比較で必ず聞く7つの質問
定額と都度、どちらの提案を受けるにしても、単価の裏側を揃えないと比較できません。自分が最近発注するとき必ず聞いている項目を並べます(別記事の見積書で確認すべき7項目のチェックリストとも重なります)。
- 月額固定に含まれる清掃回数の上限は?超過時の単価は?
- リネンは料金に含まれるか、別料金か。破損・シミ交換のルールは?
- ゴミ処理は含まれるか。分別・持ち帰り・自治体シール代の扱いは?
- 繁忙期割増の適用月と割増率は?(GW・お盆・年末年始・桜シーズンなど)
- キャンセル発生時(前日・当日)の請求ルールは?
- 解約通知の期限は?定額の途中解約でペナルティはあるか?
- 事業者賠償責任保険に加入しているか、上限額は?
この7項目、初めて発注するときに全部聞いておくと、あとで揉めない。特に4番目の繁忙期割増は、契約書に「別途通知」とだけ書いてあって金額が明示されないことがあり、後から+2,000円で請求されて驚いた経験がある。
見積もりを取るときは、稼働の想定を「閑散月5泊・通常月12泊・繁忙月20泊」の3パターン提示して、それぞれの月額試算を出してもらうと比較しやすい。1パターンだけだと業者に都合の良い数字が出やすいです。
契約形態を選ぶ前に確認する法規と衛生ライン
料金の話ばかりしてきたけど、どちらの契約形態を選んでも、住宅宿泊事業法(民泊新法)が求める清掃頻度を下回るわけにはいきません。
国土交通省・観光庁が管轄する民泊制度ポータルサイトによれば、住宅宿泊事業者には「宿泊者の衛生の確保」として、居室の床面積を宿泊者1人当たり3.3㎡以上確保するとともに、定期的な清掃・換気などの措置を講じる義務がある、と明記されています。
厚生労働省令でも同様に、届出住宅について定期的な清掃と換気が求められている。「定期的」の解釈は自治体・保健所で運用差があるため、契約形態を決める前に管轄の窓口に確認しておくのが安全です(自分は新宿区・台東区・大田区でそれぞれ確認した経験があります)。
契約形態が変わっても落とせないライン
- 宿泊者ごとのシーツ・枕カバー・タオル類の交換(旅館業における衛生等管理要領の考え方に準拠)
- 定期的な清掃・換気の実施と記録
- 苦情への対応窓口の明示(住宅宿泊事業法第10条)
- 宿泊者名簿の備付け(同法第8条)
定額制で「回数上限に達したから今週の清掃はスキップ」というのは、宿泊者ごとの衛生確保という原則から見て許されない。定額の上限を超えた分は都度加算で必ず清掃を入れる、という運用にしてください。
料金体系より前に、業者との関係性が効く
ここまで数字で書いてきたけど、正直、2年やって思うのは、料金形態の得損より業者との関係性のほうが年間コストへの影響が大きい、ということです。
信頼できる業者を1社押さえて、繁忙期の枠を確実に確保し、たまにトラブルが起きたときに融通が利くほうが、月数千円の得を追うより長期で得をした感覚があります。判断が分かれるところで、ここは読んでる方がどちらを重視するかで結論が変わる論点だと思ってます。
料金体系の比較で迷ったら、まず複数業者から同じ条件で見積もりを取るのが早い。1社ずつ電話するより、条件を一度入れて比較する仕組みを使うほうが時間の節約になります。
よくある質問
Q1. 定額制と都度払い、初心者のオーナーはどちらから始めるべき?
稼働データが3ヶ月分溜まるまでは都度払いで様子を見るのがおすすめです。定額は月間稼働の目安が読めないと契約後に後悔しやすい。自分は3件とも都度で始めて、稼働が安定した物件だけ定額に切り替えました。
新規開業直後は集客も清掃業者との相性も未知数なので、身軽に切り替えられる都度払いのほうが失敗コストが低い、と感じてます。
Q2. 定額契約の途中解約はできますか?
可能ですが、解約通知の期限(1〜2ヶ月前)と、途中解約手数料の有無を契約書で確認してください。業者によっては年間契約で途中解約は残月の◯%を精算、というルールがあります。契約前に必ず確認するべき項目です。
Q3. 稼働がゼロの月でも定額料金は満額払うの?
多くの定額契約は満額請求です。減額条項がある業者は少数派。ここが定額の一番の落とし穴なので、閑散期がある物件は都度払いのほうが安全です。
Q4. 繁忙期に都度払いで枠が取れなくなる、というのはよくある?
東京の観光地エリアではよくあります。GW・お盆・年末年始・桜シーズンは、定額顧客を優先する業者が多い。都度契約でも「繁忙期の優先枠」を有償で確保するオプションを提供する業者があるので、事前に相談しておくと安心です。
Q5. リネン込みの定額と、リネン別の都度、どう比較すればいい?
リネン費用を月間泊数で割り戻して1回あたりに揃えてから比較します。編集部調べで、リネンサプライは1セット400〜800円が実勢レンジで、月間稼働日数別のリネン費用シミュレーションも併せて確認すると精度が上がります。10泊なら月4,000〜8,000円分を都度側に足して比べると公平です。
Q6. 複数物件を持っている場合、まとめ発注で安くなる?
同エリアに複数ある場合、業者側の移動効率が上がるので単価交渉の余地があります。自分は大田区の物件で、近隣に別のオーナー物件を持つ業者から「まとめて回れる日を作れば1件500円引きできる」と提案されたことがあります。1社に集約する交渉は試す価値があります。
Q7. 民泊新法上、清掃回数を減らして料金を抑えることは可能?
宿泊者ごとの清掃・リネン交換は衛生確保の観点から必須で、料金抑制のために回数を減らすことはできません。厚生労働省令および観光庁の民泊制度ポータルサイトに定期的な清掃・換気の義務が明記されています。自治体により運用差があるため、詳細は管轄の保健所・民泊窓口で確認してください。

