民泊清掃を月契約と都度発注で比べたら?3物件オーナーが選んだ現実的な組み方

民泊清掃の月契約と都度発注を比較する見積書とカレンダーのイメージ 清掃の相場・費用

金曜の21時、会社帰りの電車で「日曜の朝、清掃入れられます?」と業者にLINEを送った瞬間、既読が付かなくて背筋が冷えた経験があります。新宿のワンルームで、翌々日にチェックインが入っていた日の話です。都度発注で回していた頃の私は、こういう「枠が取れないかもしれない」を毎週やっていました。

いま私は都内で3物件を運営していて(新宿区のワンルーム、台東区・浅草の1LDK、大田区・羽田寄りのワンルーム)、清掃の契約形態を物件ごとに変えています。月契約1本、都度発注1本、その中間のハイブリッド1本。この2年で組み替えた結果、いまの形に落ち着きました。

この記事は「月契約と都度発注、どっちが正解か」の一般論ではなくて、3物件を回した実額と失敗を出しながら、あなたの物件でどちらを選ぶかの判断軸を渡すためのものです。稼働率・エリア・繁忙期の弱さ、この3つで答えが変わります。

この記事の要点

  • 月契約(月額固定・回数枠付き)は、月間稼働が概ね15泊/月を超える物件で単価が有利になる傾向がある(編集部調べ・東京都心のワンルーム前提、条件で変動)
  • 都度発注は稼働が読めない物件・立ち上げ期の物件で有利。ただし繁忙期(GW・お盆・年末年始)は枠が埋まって別業者を探す羽目になる
  • 3物件を運営した実感では、月契約1社+都度発注のサブ1社の「二枚持ち」が最も事故が少ない
  • 契約形態の切り替え判断は、直近3か月の平均稼働泊数と、繁忙期の連続稼働ピーク値の両方を見る
  • 住宅宿泊事業法上、衛生確保・宿泊者名簿など事業者の義務は委託契約でも消えない。契約書に責任範囲を書き込むこと

ここから先は、実際の見積書と月次の請求額を並べながら、月契約と都度発注のどちらをどう選ぶかを整理していきます。一社ずつ電話して見積もりを取るのが正直しんどい人は、条件を入れるだけで清掃業者を比較できる見つける君のような仕組みで下見積もりを揃えてから読むと、数字の読み方が早くなります。

月契約と都度発注、そもそも何が違うのか

まず定義から。月契約は「月額固定料金の中に清掃回数の枠が含まれる契約」、都度発注は「1回ごとに料金が発生する契約」です。私の物件で契約している業者の建て付けだと、月契約は月10回まで込みでいくら、超過分は1回◯円という形が多いです。都度発注は文字通り、その都度見積もり。

ここで見落としがちなのが、月契約でも「回数無制限プラン」と「回数枠付きプラン」は別物という点です。無制限プランは月額が高い代わりに繁忙期に強い。枠付きは安いけど超過料金が乗る。契約書の「基本回数」と「超過単価」を必ず確認してください。

3社の見積もりから作った比較表

実際に私が取った3社の見積もりを、ワンルーム25㎡・リネン込みの条件で並べたのがこれです。金額はぼかしていますが、比率はそのまま。

項目月契約(枠付き)月契約(無制限)都度発注
月額基本料45,000円(10回込み)78,000円0円
1回あたり単価4,500円(枠内)実質2,600〜3,900円(20〜30回稼働時)5,500円
繁忙期の枠優先ありありなし(早い者勝ち)
キャンセル料前日50%前日30%前々日から発生
超過単価5,000円/回
2025年時点・東京都心・ワンルーム25㎡・リネン込みでの編集部調べ。業者・時期・オプションで変動

単価だけ見ると月契約が圧倒的に安いように見えますが、これは月10回きっちり稼働してこその数字。8回しか稼働しなかった月は1回あたり5,625円で、都度発注より高くなります。ここが罠。

都度発注の1回5,500円は「上振れも下振れもしない」安定した数字で、これはこれで管理がラク。会社の経費精算みたいに毎月同じ金額が動くわけじゃないから、キャッシュフローがヒヤヒヤすることはない、と最近になって気づきました。

稼働率別の損益分岐点を3物件で試算した

結論から言うと、上の見積もり条件では月11回の稼働が損益分岐点でした。11回を超えると月契約が有利、下回ると都度発注が有利。

計算は単純で、月契約45,000円÷都度単価5,500円=約8.18回。ただし月契約の10回超過分は5,000円かかるので、10回を超えたあたりから差が広がって、11回目で確実に月契約側が安くなる、という構造です。

私の3物件の直近12か月平均稼働はこう。

  • 新宿ワンルーム:月14.2泊(連泊多めなので清掃回数は月9〜11回)
  • 浅草1LDK:月16.8泊(家族利用が多く連泊率高い。清掃回数は月8〜10回)
  • 大田区ワンルーム:月11.4泊(羽田利用の1泊客が中心。清掃回数は月10〜13回)

面白いのが、稼働泊数と清掃回数が比例しないこと。浅草の1LDKは泊数が多くても連泊比率が高いので、清掃回数は新宿より少ない月もある。単純に「稼働率が高い=月契約が得」ではなくて、清掃回数の実績値で判断するのが正解でした。

私が実際に選んでいる組み合わせ

いま契約しているのはこれ。

  • 新宿ワンルーム:月契約(枠付き10回)+繁忙期用に都度発注のサブ業者1社を待機
  • 浅草1LDK:都度発注メインで、繁忙期だけ別のリネン込み業者と短期スポット契約
  • 大田区ワンルーム:月契約(枠付き)1本のみ。稼働が読めるので冗長化なし

浅草だけ都度発注を主軸にしているのは、連泊が多くて清掃回数が10回に届かない月が半分くらいあるから。月契約にすると枠を余らせる月が出て、単価が上がってしまう。この判断は、月次で回数実績を集計してみるまでわからなかった話で、感覚だと逆の結論を出しがちです。

稼働率と清掃回数の関係をもっと深掘りしたい人は、定額制と都度払いを稼働率別で比較した記事や、月額固定と回数課金の損益分岐試算も合わせて読むと数字の感覚がつかめます。

月契約のメリットと、契約書で必ず潰すべき条項

月契約の最大のメリットは、繁忙期の枠を優先的に確保できること。これは金額メリット以上に効きます。

GW前や年末年始、私が都度発注1本で回していた頃は、毎年12月頭の時点で「1月3日の清掃、もう他の月契約客で埋まってます」と言われて青ざめていました。月契約に切り替えてからは、少なくとも既存の枠は先に押さえてもらえる。これが本当に大きい。

ただし、月契約に切り替えるときに契約書で潰しておくべき条項がいくつかあります。

  • 基本回数と超過単価(超過が発生する条件と金額の明記)
  • 枠の繰越可否(今月使わなかった分を翌月に持ち越せるか)
  • 繁忙期の追加料金(月契約でも繁忙期は割増になる契約が多い)
  • 解約予告期間(1〜3か月前が一般的。長すぎると乗り換えづらい)
  • キャンセル料の起算日と料率
  • リネン・ゴミ処理・消耗品の含有範囲

特に「枠の繰越」は業者によって扱いがバラバラ。私が最初に結んだ契約は繰越不可で、月8回稼働の月も10回稼働の月も同じ請求で、正直損した気分になりました。繰越可の業者に乗り換えたら、年間の実質単価が下がりました。契約書の細部で数万円動く話です。

解約予告と責任範囲の書き方については、契約書に入れておくべき条項をまとめた記事で細かく整理しているので、月契約を新規で結ぶ前に一度目を通しておくと事故が減ります。

都度発注のメリットと、それでも残る不安

都度発注の一番のメリットは、身軽さです。物件を1件手放しても、業者を変えても、清掃の頻度が減った月があっても、痛くない。

2024年の夏に浅草の1LDKで水漏れがあって、10日ほど貸出を止めたことがありました。もし月契約だったら、この10日分も月額に含まれた基本料は発生していた。都度発注だったから、この月の清掃費は実費だけで済みました。トラブル耐性という意味では、都度のほうが柔らかい。

一方で、都度発注に残る不安は主に3つ。

  • 繁忙期の枠が取れない(GW・お盆・年末年始は毎年ヒヤヒヤする)
  • 業者との関係が薄くなり、細かい要望が伝わりにくい
  • 金額交渉のレバレッジが弱い(月◯回発注するなら◯円という交渉が難しい)

特に1つ目の繁忙期問題。都度発注メインで回すなら、繁忙期の予約は最低でも1か月前に押さえる、それでも取れないときの代替業者を1〜2社持っておく、というルールを自分の中で決めておかないと事故ります。

「飛ばれた」ときの応急対応が必要になる

都度発注のリスクとして地味に大きいのが、業者側の急な廃業・辞退です。私も1度だけ、直前に「今月いっぱいで対応できません」と言われて焦った経験があります。翌週の予約が3件入っていて、代替を1週間で探す羽目に。

このリカバリー手順は業者が急に飛んだときの代替先確保の記事に詳しくまとめましたが、要は「サブ業者を平時から1社動かしておく」に尽きます。月に1〜2回だけでもサブ業者に発注しておくと、いざというときの立ち上がりが違います。

一社ずつ電話して見積もりを取り直すのは、正直、平日会社にいる兼業オーナーには時間的にきつい話です。条件だけ入れて複数社の下見積もりを比較できる見つける君のような仕組みを使うと、サブ業者の候補出しが1日で終わります。

ハイブリッド運用(月契約+都度サブ)が3物件規模で最適解だった

結論、私が2年運営して落ち着いたのは「月契約1社をメインに置き、都度発注のサブ業者を1社常時稼働させる」ハイブリッド運用です。

メインの月契約業者に月8割の清掃を任せ、繁忙期や急な追加分・メインが枠取れない日をサブ業者に流す。サブ業者にも月に2〜3件は必ず発注するようにして、いざというときに「久しぶりなので枠が」と言われないようにする。これが私の運用ルール。

費用面で見ると、都度発注1本の頃と比べて年間で12〜18万円ほど下がりました。3物件合算の話です。ただし、この差が出るのは「稼働が読める物件がある」からで、稼働が完全にランダムな物件(例えばイベント期依存が強い物件)は月契約に切り替えても得しない可能性があります。

個人業者と会社、どちらをメインにするか

ハイブリッドを組むとき、メインを会社(法人)にするか個人事業主にするかで、契約の柔軟性がだいぶ違います。個人業者のほうが月契約の条件は融通が利く一方、廃業リスクや繁忙期の枠は法人のほうが安定します。

私はメイン=法人、サブ=個人業者の組み合わせに落ち着きました。判断軸を細かく整理した法人業者と個人フリーランスの比較記事も参考にしてください。

住宅宿泊事業法上、契約形態を変えても消えない義務がある

ここは事務的な話ですが、月契約でも都度発注でも変わらない前提として、住宅宿泊事業者の法定義務は残ります。観光庁の民泊制度ポータルサイトによれば、住宅宿泊事業者には宿泊者の衛生確保・安全確保・宿泊者名簿の備付け・周辺地域への説明・苦情対応など複数の業務が義務付けられており、これらは住宅宿泊管理業者に委託した場合でも管理業者の責任の下で担う業務、とされています(出典:観光庁 民泊制度ポータルサイト「事業者の業務」)。

清掃業者は基本的に住宅宿泊管理業者とは別物です。清掃の委託契約を月契約にしても都度発注にしても、法定義務そのものはオーナー側に残る。ここは勘違いしやすい部分です。

実務的には、契約書に「衛生確保のために清掃業者が実施する項目(シーツ交換・水回り消毒など)を明記する」「作業完了報告の方法を定める」ことで、法定義務の履行を紐づけておくのが安全です。詳細は必ずお住まいの自治体の民泊窓口と、観光庁の民泊制度ポータルサイトで確認してください。

シーツ交換のルールは契約形態と関係なく明示

特にシーツ交換は、宿泊者ごとの交換が衛生基準として求められる場面が多く、契約形態にかかわらず作業手順として明示しておく必要があります。シーツ交換ルールと衛生基準の一次情報を整理した記事を、契約書のリネン条項を書くときに一緒に確認しておくと抜けが減ります。

契約形態を切り替えるタイミングと判断軸

都度発注から月契約に切り替えるべきタイミングは、直近3か月の平均清掃回数が月10回を安定して超えたときが目安です。逆に月契約から都度発注に戻すべきは、平均が月8回を切って3か月以上続いたときが目安。

ただし切り替えは繁忙期を避けるのが鉄則。GW直前・お盆直前・年末に業者を切り替えると、引き継ぎで事故が起きます。私は3月・6月・10月に切り替えを検討することにしています。この時期は業者側にも余裕があって、契約条件の交渉もしやすい。

切り替え時に社内で決めるべきこと

  • 現契約の解約予告期間(多くは1〜3か月前)
  • 切替候補業者の見積もり比較(最低3社)
  • 鍵の受け渡し方式の変更が発生するか
  • リネンの引き継ぎ(自前・レンタルの切替が絡む場合)
  • 切替期間中のバックアップ業者の確保

私が過去にやらかしたのは、鍵の受け渡し方式を新業者と詰め切らないまま切り替えて、初回の清掃日に業者が入れずゲストのチェックイン時間ギリギリまで慌てたケース。契約書の署名が済んでも、初回オペレーションは自分で立ち会うくらいの慎重さがちょうどいい、と学びました。

結局、あなたの物件はどちらを選ぶべきか

ここまでの話を判断フローに落とすとこう。

  • 直近3か月の月平均清掃回数が10回超、稼働が安定 → 月契約メイン+都度サブ
  • 月平均清掃回数が7〜10回、繁忙期のピークが読める → 月契約(枠付き)1本
  • 月平均清掃回数が7回未満、または稼働が読めない → 都度発注+繁忙期の予約前倒し
  • 物件を立ち上げたばかり(3〜6か月以内) → 都度発注で様子見、半年後に再判断

ここまで整理してもなお、迷う論点が1つ残ります。それは「業者との関係の深さ」をどう評価するか。月契約は関係が深くなり細かい要望が通りやすくなる反面、業者を変えづらくなる。都度発注は関係が薄い代わりに柔軟に動ける。どちらを取るかは、あなたが運営で何を優先するかによって答えが変わります。ここだけは私も明快な答えを持っていません。

数字だけで機械的に決めきらず、業者との相性・自分の運営スタイルも含めて考えるのが、最後に効くと感じてます。

候補業者を洗い出す段階で時間を使いすぎている人は、条件を入れるだけで複数社の下見積もりを揃えられる仕組みを使うと、判断に集中できます。

よくある質問

Q1. 月契約と都度発注、初めて外注するならどちらから始めるべき?

初めての外注は都度発注から始めるのが安全です。物件の稼働ペース・清掃回数の実績値が3〜6か月分たまるまで、月契約に切り替える判断材料が揃わないからです。私も最初の3物件目までは都度で回し、稼働が読めるようになった段階で月契約に切り替えました。焦って月契約に入ると、枠を余らせて実質単価が上がる失敗をやりがちです。

Q2. 月契約の途中で解約するとペナルティはある?

契約書に定められた解約予告期間(一般的に1〜3か月前)を守れば通常はペナルティなしですが、契約によっては「最低契約期間6か月」「途中解約時の違約金」が設定されているケースがあります。私が過去に検討した契約でも最低6か月縛りの業者がありました。契約前に必ず解約条項と最低契約期間を確認してください。

Q3. 繁忙期だけ都度発注で追加業者を入れるのはあり?

ありです、というよりむしろ推奨します。月契約1本だけだと、その業者の枠が埋まった瞬間に詰みます。私も繁忙期は必ずサブ業者を1〜2社動かしています。ただし平時から少量でも発注しておかないと、繁忙期に「初回対応は難しい」と断られる可能性が高い。月2〜3件はサブに流しておくのが現実的です。

Q4. 月契約に切り替えたら、いくらくらい安くなる?

私の3物件合算では、都度発注1本から月契約+都度サブのハイブリッド運用に切り替えて、年間で12〜18万円のコスト減でした(編集部調べ・稼働率などの条件で変動)。1物件あたり月3,000〜5,000円ほどの差です。ただし稼働が月8回を切る物件は逆に月契約のほうが高くつきます。切り替え前に3か月分の清掃回数実績を必ず出してください。

Q5. 清掃業者を月契約にした場合、住宅宿泊事業法上の届出は変わる?

清掃業者との契約形態を月契約に変えても、住宅宿泊事業者の届出内容自体は基本的に変わりません。ただし、家主不在型で住宅宿泊管理業者に管理を委託している場合や、管理業者を変更する場合は届出事項に該当する可能性があります。詳細は観光庁の民泊制度ポータルサイトと、お住まいの自治体(保健所設置市の長・特別区の長など)の窓口で確認してください。清掃業務の委託そのものは通常、届出変更の対象外です。

Q6. 見積もりを取るとき、月契約と都度発注のどちらの条件で聞くべき?

両方揃えて聞くのがおすすめです。同じ業者に「月10回想定の月契約」と「都度発注1回あたり」の両方の見積もりを出してもらうと、その業者の料金構造が見えます。片方だけだと比較にならない。私はいつも両パターンで見積もりを取り、稼働実績値と突き合わせて判断しています。

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