1月の第2週に入った月曜、うちが浅草の1LDKで使っている清掃業者さんから「今月は稼働どれくらいですか」とLINEが来ました。年末年始で満室だった12月末とは打って変わって、私の3物件の1月予約は合計で12泊。前月比で6割減です。清掃業者さんの側は、うちだけでなく他の民泊オーナーからも同じ連絡が減っているはずで、要は「1月2月の谷をどう埋めるか」を先方も考えている時期だと分かりました。
この記事は発注側のオーナー視点で、清掃業者さんが閑散期に売上を落とさないためにどんな工夫が効くのか、逆にオーナーとしてどんな提案なら乗れるのかを整理した記録です。清掃業者さん自身が読んで「オーナーはこう考えている」と分かる材料になるように、私の3物件(新宿区25㎡ワンルーム/台東区45㎡1LDK/大田区28㎡ワンルーム)で実際に起きたことを軸に書きます。
結論だけ先に言うと、閑散期の売上を単発の清掃価格で埋めようとすると必ず失敗します。オーナー側は繁忙期に上げた単価をそのまま据え置きたいので、値下げカードは打ちにくい。効く手は、清掃以外の周辺業務・中期滞在の清掃間隔・オーナーとの年間契約化・複数業種への複線化の4本だと思ってます。
この記事の要点
- 民泊の閑散期は主に1月中旬から2月、および6月の梅雨期で、業界統計でも閑散期の稼働率は繁忙期より30ポイント前後下がる場合がある(STR Japan等の指摘、施設タイプで差あり)
- 閑散期に単純値下げをすると通常期の単価も引きずられるため、オーナー側は「同じ単価で追加業務」を提案されたほうが乗りやすい
- 効く打ち手は、深掘り清掃(エアコン内部・浴室エプロン内・冷蔵庫)、マンスリー移行物件の週次清掃、法人・写真撮影・レビュー返信代行など周辺業務の抱き合わせ
- 年間包括契約(月額固定+回数上限)にすると閑散期の谷が消える一方、繁忙期の上振れは取りにくくなるためオーナー・業者双方で試算が必要
- 民泊以外の清掃(オフィス定期・原状回復・引越し前後)に横展開するのは有効だが、住宅宿泊事業法や自治体条例の届出は民泊清掃と別軸なので事業範囲は自分の許認可を確認
一社ずつ電話して稼働の谷を埋める発注元を探すのは、清掃業者さんにとってもオーナーにとっても消耗戦です。条件を入れるだけで民泊オーナーと清掃業者がつながる見つける君に登録しておくと、閑散期の余力を見せる場所を1つ増やせます。業者側は無料で登録できます。
民泊清掃の閑散期はいつか、なぜ谷になるのか
結論から言うと、東京都心の民泊で清掃発注が明確に落ちるのは1月中旬から2月末、それと梅雨の6月です。私の3物件を合算した清掃回数で見ても、12月と3月に対して1月と2月は半分近くまで減る年が多い。オーナー側の実感としては「予約カレンダーが白い日ばかり並ぶ2週間」がこの時期に来る、という感覚です。
宿泊業界全体の統計でも同じ傾向は出ていて、業界系メディアの整理では、日本の宿泊施設は年始明けの1〜2月に稼働が落ち、都市型ビジネスホテルは10〜11月が繁忙・1〜2月が閑散という季節性が知られています。民泊は訪日客の比率が高い分、旧正月の中華圏需要で2月が持ち直す物件もありますが、私の3物件では2月上旬まで谷、旧正月週で一時的に戻る、という波形です。
観光庁の宿泊旅行統計を見ても、月別の延べ宿泊者数は年内で常に平坦ではありません。全国合計の数字はホテル込みなので民泊単体の谷はもう少し深く出ますが、少なくとも「業種全体で年始が凹む」という前提は行政統計とも整合します。ここは業者側もオーナーに交渉するときの共通言語になるので、押さえておいて損はないです。
閑散期に予約が減る具体的な理由
理由は3つに集約されます。1つ目、訪日観光の季節性。桜前の2月上旬と梅雨の6月は欧米豪からの旅行需要が弱い。2つ目、国内需要の減衰。年末年始休みが終わった直後の1月中旬は国内旅行客が動きません。3つ目、法人出張の谷。年度末前の1月2月は決算前で企業予算が絞られる時期にあたり、出張目的の民泊利用も鈍ります。
この3つは業者側の努力ではどうにもならない外部要因です。だから閑散期対策は「予約を増やす」ではなく「1件あたりの単価と業務範囲を組み替える」方向でしか動かせない、と割り切ったほうが早い。私自身、業者さんから2月にヒヤリング入ったとき、値下げ話は断ったけど深掘り清掃の提案は乗りました。そういう話です。
閑散期に単純値下げが効かない理由
結論から。閑散期だけ値下げする提案は、オーナー側の心理的にほぼ通りません。私も過去2社から「2月だけ1回500円引き」と言われましたが、断りました。理由は単純で、通常期の見積もりを次から見るとき「あの単価まで下げられるはず」という記憶が残るからです。
発注側の頭の中では、単価は一度下がると元に戻すのに強い理由がいる。業者側から「2月だけ」と言われても、翌年3月に「今年から通常単価はいくらでしたっけ」という空気になる。値下げカードは1回で切れる、しかも切ると戻せない、非対称なカードだと思ってます。
もう1つ、フリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)の観点でも、閑散期の値下げは片務的な要請にならないよう気をつけたい話題です。オーナーが強く値下げ要求すると新法の減額禁止に触れかねない一方、業者側から自主的に値下げを提示する分には問題は起きにくい。ただ、業者側にとっての合理性は薄い、という結論は変わりません。詳しくは相場を根拠にした値下げ相談の進め方にまとめたので、交渉の順序を確認したい方はそちらを参照してください。
オーナーが乗りやすいのは「同じ単価で追加業務」
逆に、通常単価を維持したまま「閑散期は追加のスコープを無料〜低価格で入れます」と言われると乗ります。私が実際に2月に受けたのは、通常清掃6,500円のまま「今月は冷蔵庫内・製氷機・電子レンジ庫内・カーテンレール上・エアコンフィルター清掃を追加します」という提案。定価に戻る3月からは、フィルター清掃だけは有料オプション化しました。
この構造は業者側にもメリットがあって、閑散期の空いた時間で通常やらない箇所を触ることで、繁忙期にオプション売りできる引き出しが増える。オーナー側は「無料でお試ししたら意外と汚れが取れて、レビューでも触れられた」という体験ができれば、有料化しても継続する率が高い。両方が得をする組み方です。
谷を埋める打ち手1:深掘り清掃・季節メンテを閑散期に寄せる
結論。繁忙期には物理的にできない「深掘り清掃」を閑散期に集中させる契約の取り方が、業者側の売上を最も自然に埋めます。単価は通常清掃の1.5〜2倍取れ、オーナー側も「繁忙期を避けて安く深く入る」提案として受けやすい。
私が2月に依頼した内訳を晒すと、浅草の1LDKで通常6,500円のところ、エアコン内部洗浄8,000円・浴室エプロン内洗浄5,000円・レンジフード分解洗浄6,000円を追加発注しました。合計25,500円、うち19,500円が閑散期に上乗せで動いた売上です。同じ業者さんに新宿と大田区の2物件でも同構成を発注したので、業者側の2月売上は前年比で確実に増えたと思います。
閑散期に寄せやすい清掃メニュー例
| メニュー | 通常清掃で入るか | 閑散期の目安単価(編集部調べ) | 所要時間 |
|---|---|---|---|
| エアコン内部(分解)洗浄 | 入らない | 8,000〜15,000円/台 | 90〜120分 |
| 浴室エプロン内洗浄 | 入らない | 3,000〜8,000円 | 30〜60分 |
| レンジフード分解 | 簡易のみ | 5,000〜10,000円 | 60〜90分 |
| 冷蔵庫の外し洗い | 入らない | 3,000〜5,000円 | 30分 |
| マットレスクリーニング | 入らない | 5,000〜10,000円/枚 | 40〜60分 |
| 床ワックスがけ | 入らない | 広さ次第で5,000〜15,000円 | 60〜120分 |
ここに載せた金額はあくまで発注側から見えた範囲で、業者側のコスト構造や機材償却次第で幅があります。逆に言うと、業者側からオーナーに提示するときは「なぜこの単価か」の内訳(分解工具の使用・薬剤原価・作業時間)を1行添えると通りやすい。私は内訳が書いてある業者に発注する率が明らかに高いです。
オーナー側への提案の仕方
タイミングは12月中旬。年末繁忙期の請求書を出すタイミングで「1月2月に深掘り清掃を入れませんか」と1通LINEを送るだけで受注率が変わります。オーナー側は年末年始に予約カレンダーを眺めていて、1月2月の空白を認識している瞬間なので、話が通りやすい。3月に入ってから提案しても遅い。
提案文には具体的な日付候補を2〜3個入れるのがコツです。「2月10〜14日のどこか」ではなく「2月11日午後・2月14日午前・2月20日終日」と絞る。オーナーは予約カレンダーとの照合が1分で終わり、返事も1分で返せる。ここが5分かかる提案は流れます。継続契約につながる報告書の書き方にも書きましたが、業者側の丁寧さは「オーナーの意思決定コストを下げる細部」で判定されてます。
谷を埋める打ち手2:マンスリー・中期滞在の週次清掃を取りに行く
結論。閑散期にオーナーが打つ最大の手が「短期民泊→マンスリー・週貸しへの一時切り替え」です。ここで週1回の中間清掃が発生するので、業者側は谷の期間に週次案件を1本刺せる可能性があります。
私も新宿のワンルームは、2月に予約が薄いと分かった段階でマンスリー掲載も並行させます。1泊単価を落として稼働を無理に取るより、1〜2ヶ月の長期客を1組入れたほうが売上が読める。清掃業者さん側からすると、通常のチェックアウト清掃(6,500円)が消える代わりに、週1中間清掃(3,500円)×4回で14,000円の月次売上が入る形になります。単発2泊分より業者側は稼げるケースが多い。
ここで業者側から先にオーナーに「2月に予約が薄そうならマンスリー切り替えの週次清掃、うちが対応できます」と言える業者は強い。オーナーはマンスリー化に踏み切るとき「週次清掃の手配が面倒」という理由で見送ることが多いので、そこを先回りされると心理的なハードルが1枚剥がれる。実際に私も、2つの物件でこの提案を先に受けて背中を押されました。
中期滞在時の清掃の注意点
1つだけ法規の確認事項があります。民泊(住宅宿泊事業法)の届出物件でマンスリー・週貸しをする場合、それが同法上の「宿泊」なのか一般賃貸なのかで扱いが変わります。30日を超える利用は民泊新法の対象外になり、賃貸借契約側の実務に移る。清掃業者側は「マンスリー期間中の清掃記録」を民泊の清掃記録と分けて保管しておくのが無難です。
清掃記録の保存期間は、私自身が立入検査で見られる書類の整理で調べたときに、住宅宿泊事業法上の宿泊者名簿は3年、住宅宿泊管理業者の帳簿は5年という一次情報を確認しました。清掃記録はこれらに紐づくので、混在させると保健所対応で困ります。
谷を埋める打ち手3:年間包括契約(月額固定)に切り替える
結論。閑散期の谷を根本的に消したいなら、都度払いから月額固定の包括契約に切り替える提案が最強です。ただし繁忙期の上振れも取れなくなるので、業者側の腹の据え方が問われる。
設計は月額◯円で月上限◯回、超過分は都度単価、みたいな形が現実的。私が過去に個人業者さんと結んだ形は、月額45,000円で月8回まで、9回目からは1回5,500円、というものでした。オーナー側は月次コストが読めるメリット、業者側は繁忙も閑散も平均化されるメリットがある。
| 契約形態 | 閑散期の売上 | 繁忙期の売上 | 業者側のリスク | オーナー側のリスク |
|---|---|---|---|---|
| 都度払い | 大きく減る | 大きく増える | 売上が読めない | 繁忙期に枠が取れない |
| 月額固定+上限あり | 安定 | 上限まで安定・超過は都度 | 閑散期の稼働ロスなし | 低稼働月は割高感 |
| 月額固定+無制限 | 安定 | 安定だが上限なし | 繁忙期に採算悪化 | 繁忙期のコスト有利 |
詳しくは定額制と都度払いの損益分岐でオーナー側の月間稼働別に試算しています。業者側から提案するときは、直近12ヶ月の実清掃回数を集計して平均値を出し、平均月×単価×0.9くらいから月額提示するのが交渉の入り口として通りやすい。
月額固定を持ち出すタイミング
提案タイミングは、業者側とオーナー側で1年以上取引が続いた後、かつ繁忙期直後がベスト。信頼関係と実データがある状態で「来年からこう組み替えませんか」と切り出す。取引開始1〜2ヶ月で月額提案されると、オーナーは「品質が読めない相手に固定費を払うのか」で構えます。ここのタイミングを外すと、いい提案でも通らない。
月額に切り替える前に、契約書は必ず巻き直します。回数上限・超過単価・キャンセル時の扱い・年間の休止月をどう処理するか、この4点が曖昧だと後で必ずもめる。契約前に聞くべき質問リストにまとめた項目を1つずつ潰していくと安全です。
ここまで読んで「オーナーとの契約組み替え交渉は自分のところだけじゃ限界」と感じたら、そもそも取引先を増やして分散する話に戻ります。閑散期の谷は取引先が3社なら怖いけど15社なら平均化できる、というシンプルな話でもある。
谷を埋める打ち手4:清掃以外の周辺業務を抱き合わせる
結論。清掃と地続きの周辺業務を月次オプションとして持てば、閑散期でも売上を積める。オーナー側の面倒くさい業務を代行する構造なので、単価も乗せやすい。
私が実際に清掃業者さんに追加でお願いしている、または断ったけど提案自体は妥当だったメニューを挙げます。写真の再撮影(Airbnbリスティング用)、備品の在庫チェックと発注代行、消耗品のまとめ買いと搬入、季節ごとの飾り替え(正月飾り・雛人形の小物・クリスマスツリー)、レビュー返信テンプレの下書き、宿泊者アメニティの補充リストアップ。この6つは月次で数千円〜1万円台の追加売上になります。
特に写真の再撮影は閑散期の集客改善につながるので、オーナーの財布のヒモが緩みます。「2月に稼働が空くから、逆にリスティング写真を撮り直しませんか。うちで撮影1時間5,000円で対応します」という提案は、私自身が2月に浅草物件で乗りました。撮影のプロほどの写真じゃなくていい。清掃直後の一番きれいな状態を、業者さんが自然光で撮ってくれるだけで十分です。
法人・オフィス清掃への横展開
もう1つ王道の手が、民泊以外の清掃市場に足を伸ばすことです。オフィスの週次定期清掃、賃貸物件の原状回復、引越し前後のハウスクリーニング、Airbnb以外の宿泊業(旅館業法の簡易宿所・ゲストハウス)。これらは閑散期の波形が民泊と違うので、平均化に効きます。
ただし、事業として看板を掲げる範囲によっては別の許認可・届出が要る場合があるので、自社の適合範囲は要確認です。特に廃棄物処理は一般廃棄物収集運搬業の許可が必要なケースがあり、清掃で出たゴミの持ち帰り運搬を有償で受けると引っかかることがあります。自治体の廃棄物担当課に照会するのが確実です。
オーナー側から見て「頼みたい抱き合わせ」の順番
発注側視点で、業者さんから提案されて即決しやすい順に並べます。1位は消耗品の補充・発注代行(Amazonビジネス代行含む)、2位は忘れ物対応・郵送代行、3位は写真再撮影、4位は季節飾り替え、5位はレビュー返信下書き。1位2位は「私が家からやると往復1時間かかる作業」なので単価が乗せやすい。
逆に、乗りにくい提案は「宿泊者対応の一次窓口」「トラブル時の駆けつけ」。これはオーナー側が委託しきれない領域(責任範囲が広すぎる・保険の問題)なので、閑散期の売上補填には向かないです。この線引きは業者側が想像しにくい部分だと思うので、あえて書きました。
谷を埋める打ち手5:取引先を「見つける君」等のマッチングで増やす
結論。取引先が5社以下だと閑散期に必ず食らいます。10社超えるとオーナーごとの繁閑がずれて平均化される。閑散期対策の最終手段は、既存客の中で埋めることを諦めて、母数を増やすことです。
民泊オーナーとの接点を作る方法は、以前オーナー側が業者を探す5つの方法でまとめたルートの裏返しです。マッチングサイト、地域の管理会社経由、SNS発信、紹介、家事代行系プラットフォーム。閑散期に営業をかけるならマッチングサイトが最速で、条件登録しておくとオーナー側から見つけてもらえる時間帯を増やせます。
私が業者さんを探すときに見ているのは、対応エリア・対応時間・繁忙期の枠・写真報告の有無の4点です。閑散期にアピールを増やすなら、この4項目のうち「繁忙期の枠が確保できる」ことをプロフィール文で明示する業者に発注が集まりやすい。閑散期の谷が深い業者ほど、繁忙期に枠を空けてもいる、という文脈が発注側には響きます。
閑散期に業者側が改善しておくと通年で効くこと
閑散期は営業と同時に「体制改善」に使えます。私がオーナーとして業者を選び直したときに効いた要素を並べると、写真報告のクオリティ、LINEでの返信速度、見積書の細目、契約書のひな型の有無、この4つでした。閑散期にこの4つを整えた業者は、翌年繁忙期の受注が明らかに増える。
特に写真報告のフォーマットは差がつきます。1件あたり10枚を決まったアングルで撮り、汚れが取れた場所は「Before/After」で並べる。撮影ポイントの整理は写真報告の撮影ポイントに書きましたが、閑散期にテンプレを固めておけば繁忙期は流すだけで済む。オーナー側の安心感が段違いに変わります。
閑散期にやってはいけないNG行動
結論。閑散期に慌ててやると通年の売上を毀損する行動が3つあります。順に「価格の一律値下げ」「短期契約に切り替え」「品質を落とした低単価案件受注」。この3つを避けるだけで、翌年の巻き返し余地が残ります。
1つ目は前述の通り。2つ目、月次契約や短期契約に安易に切り替えると、次のシーズンで契約更新が来なかったときにゼロになるリスクがある。年間契約のほうが業者側の安定性は上がります。3つ目、閑散期に安い案件に手を出すと、そのオーナーが繁忙期にも同じ単価で発注してくる。「あそこは安く受けてくれた」記憶は年をまたぎます。
もう1つだけ、業者さん側からの提案でオーナーが引くパターンを共有します。「今月キャンセル料の請求を待ってもらえないか」という相談です。個人業者さんから2月に受けたことがありますが、これは信頼が一気に落ちます。閑散期こそキャッシュフローが痛いのは分かりますが、オーナー側から見ると「経営体力に不安」というシグナルとして残ってしまう。銀行融資や小規模事業者持続化補助金など、公的な資金繰り支援に先に手を伸ばすほうが健全です。
オーナー・業者どちらから見ても、閑散期は「関係を作り直す時間」
結論として、閑散期の売上補填を「単価と回数の話」だけで解こうとすると必ず薄い解になります。効くのは、深掘り清掃で単価を積む、マンスリー切り替えで清掃間隔を作る、年間契約で平均化する、周辺業務を抱き合わせる、取引先を増やす、この5本の組み合わせ。
発注側のオーナーとしての正直な感想を書くと、閑散期に「値下げしましょうか」と言ってくる業者より、「2月に空いている時間があるので、この深掘り清掃を1回入れませんか」と提案してくる業者のほうが、翌年3月以降に依頼が集中します。売り込みじゃなく、こちらの都合を先に想像した提案が来ると、次の繁忙期で優先的に枠を取りたくなる。閑散期は、価格じゃなくて関係の質で戦う時期だと思ってます。
ここは正直、業者さん個々の営業スタイルやオーナーのタイプで正解が変わる領域です。うちのように3物件の兼業オーナーが求めるものと、10物件超の運営代行会社が求めるものは違う。一律の正解はないので、自分の取引先2〜3社を見返して「あの人には深掘り清掃、あそこには月額固定」と使い分ける戦略設計をこの冬に一度書き出してみるのがおすすめです。
閑散期の余力を、必要なオーナーに届く形で見せる場所を用意しておくのも並行して有効です。見つける君なら業者側の登録は無料で、対応エリアと得意メニューを条件登録できます。閑散期の谷が読める段階で早めに露出を増やしておくと、2月・6月の話が来やすくなります。
よくある質問
Q1. 東京の民泊清掃の閑散期は具体的にいつですか
私の3物件(新宿・浅草・大田区)の実感では、1月中旬から2月上旬と、6月の梅雨期が明確な谷です。旧正月週で2月中旬が持ち直す物件もあります。宿泊業界統計でも1〜2月の閑散、6月の谷は共通に指摘されており、都市型ビジネスホテルは年始が特に落ちる傾向です。
Q2. 閑散期に価格を下げるのは本当にダメですか
「絶対ダメ」ではないですが、オーナー側の記憶に単価の下限が残るため、通年で見ると不利になりやすいです。同じ単価のまま追加業務(深掘り清掃・写真撮影など)を提案するほうが、翌シーズンの受注につながります。値下げは1回で切れるカード、と割り切って使うか使わないか判断してください。
Q3. マンスリー切り替え時の週次清掃は民泊清掃と同じ扱いですか
30日を超える滞在は住宅宿泊事業法の対象外となり、賃貸借契約側の実務に移ります。清掃記録も民泊の記録と分けて保管したほうが立入検査の際に説明が楽です。詳細は物件所在地の民泊担当課や保健所への確認をおすすめします。
Q4. 月額固定の年間契約はどれくらいの取引期間で提案していいですか
私の経験だと、取引開始から1年以上が経過し、通年の清掃回数データが揃った時点がベストです。信頼関係と実データの両方がないと、オーナー側は月額提示を「囲い込み」と感じてしまいます。提案時は直近12ヶ月の実清掃回数×単価をベースに、平均月の90%程度から交渉すると通りやすいです。
Q5. 民泊以外の清掃に横展開する場合、追加で必要な許認可はありますか
業種と業務内容で変わります。オフィス清掃や住宅ハウスクリーニング単体は特別な許可は不要なケースが多いですが、清掃で発生した廃棄物を有償で運搬・処分する場合は一般廃棄物収集運搬業の許可が必要になるケースがあります。ここは自治体の廃棄物担当課で照会してください。旅館業法の簡易宿所は民泊とは別法規なので、契約時に発注元の営業許可種別を確認しておくと安全です。
Q6. オーナーが閑散期にキャンセルしてきた場合、キャンセル料は請求できますか
契約書にキャンセル規定が明記されていれば請求できます。ただ、閑散期の1件を厳しく請求すると通年の関係が悪化することがあるので、キャンセル料の請求可否と、実際に請求するかは分けて判断したほうが実務的です。契約書のキャンセル条項の一般的な整理は関連記事の契約書解説を参照してください。

