先週、大田区の物件を新しく請けてくれた清掃会社の方から「うちは今月まだ枠が半分空いてるんです」と言われて、正直、驚きました。都内の民泊件数は2025年9月時点で3万5246件まで戻っているのに、案件が取れていない業者はまだこれだけあるのかと。
私は新宿・浅草・大田区で3件の民泊をやってます。本業を持ちながらの兼業で、清掃はもう完全に外注。この数年で7社くらい試して、続いた業者と切れた業者の差をずっと観察してきました。案件が安定している業者には、はっきりした共通点があります。
この記事は、清掃業者の方に向けて、発注する側のオーナーから見て「頼み続けたくなる業者」がどう見えているかを書きます。営業テクニックではなく、オーナーが何を見て決めているかの内情の話です。
この記事の要点
- 民泊清掃の案件獲得は「新規獲得」より「1オーナーで複数物件・長期化」の方が労力対効果が高い(1オーナー3物件抱えれば月30回前後の稼働が読める)
- 2025年時点で東京の民泊届出件数は3万5246件、東京だけで簡易宿所を含めれば清掃需要は伸びているが、繁忙期の枠取り・当日キャンセル対応で差がつく構造は変わっていない
- 2024年11月施行のフリーランス新法により、発注側は書面での取引条件明示・60日以内の報酬支払いが義務化。業者側から発注書テンプレを提示できると信用が上がる
- 営業チャネルは「マッチングサイト・地域営業・オーナー紹介・SNS」の4つ。単独で頼らず、獲得コストと継続率の違いで組み合わせるのが実務解
- オーナーが業者を切る理由の上位は「繁忙期に枠が取れない」「当日キャンセル対応の条件が不明瞭」「写真報告がない」の3つ。獲得より継続の設計で案件は安定する
営業に時間を使う前に、条件を入れるだけで発注側と業者側が出会える見つける君のような仕組みに登録しておくと、繁忙期の谷埋めや新規開拓の入口として動きます。
民泊清掃で「案件が安定している」とはどういう状態か
案件獲得の話は、獲得の前に「安定」の定義から入った方が早いです。安定している業者は、毎月の稼働件数が読めていて、繁忙期の枠取りに追われず、閑散期にも稼働が落ちない状態。単に「新規が来る」ではないんです。
私が今メインで頼んでいる会社は、うちの3物件を全部見てくれています。新宿ワンルーム、浅草の1LDK、大田区のワンルーム。予約が入るたびに私が発注書を送り、月に合計で20〜30件くらいの清掃が入る。この会社にとって、私は「1顧客」ですが、稼働ベースでは1回受注の顧客20人分に相当します。
「新規1社」より「既存1社の物件を増やす」方が3倍楽
肌感覚ですが、新規オーナーを1人獲得する営業コストと、既存オーナーからもう1物件請ける営業コストは、たぶん10倍くらい違います。新規は見積もり・現地確認・鍵の受け渡し設計・試験清掃と工程が多い。既存の追加物件は、鍵と発注書のフォーマットが共通化できていれば、初回打ち合わせが30分で終わります。
だから「案件獲得の方法」を新規集客の話だけに絞ると、たぶん袋小路に入る。発注側から見ていて、案件が安定している業者は例外なく、1オーナー複数物件を意識的に狙っています。
安定稼働の目標水準(都内・単価8000円換算)
| 状態 | 月間稼働の目安 | 月商の目安(単価8000円) |
|---|---|---|
| 不安定期 | 10〜20件 | 8〜16万円 |
| 準安定期 | 30〜50件 | 24〜40万円 |
| 安定期 | 60件以上 | 48万円以上 |
あくまで編集部調べの目安で、単価・エリア・従事者数で大きく変動します。ただ、月60件の稼働があるかどうかで、繁忙期に人を雇えるかどうかの分岐点が変わってきます。人を回せる規模になると、案件を断らずに済むので、さらに紹介が増える。
案件獲得の主要4チャネルと発注側から見た印象
結論から言うと、単一チャネルに頼っている業者は伸び悩みます。私が過去に発注した7社を思い出すと、最終的に長く続いた会社は、必ず2〜3のチャネルを併用していました。
チャネルの得失を発注側の視点で整理します。営業される側から見た「印象」なので、外から見て正確な統計というよりは、判断の材料として読んでください。
1. マッチングサイト(見つける君・くらしのマーケット・ゼヒトモ 等)
初回の接点として一番強い。私自身、最初の1件は複数の清掃業者の探し方を比較したときの整理を参考にマッチングサイト経由で発注しました。オーナー側の心理的ハードルが低いのが最大の利点です。
ただし、初回はほぼ確実に価格競争になります。オーナーは複数見積もりを取っているので、料金表と対応スピードで一次選抜される。「安値で入って、初回で信頼を作って、2物件目・長期化で採算に乗せる」の設計ができていないと消耗します。
2. 地域営業(不動産管理会社・運営代行会社)
民泊運営代行会社は、複数物件をまとめて発注してきます。1社との契約で月10〜30件の稼働がまとまるので、獲得できると稼働が一気に安定する。ただし、代行会社側の希望単価が低め(5000〜7000円/回)に設定されがちで、繁忙期の融通も効きにくい。
浅草の物件で以前お願いしていた業者は、大手の運営代行会社の下請けが軸で、私みたいな個人オーナーは「隙間」で入れてもらってる感じでした。夏の繁忙期に「代行会社の物件で埋まっていて、来週まで枠がありません」と言われたのが、切り替えのきっかけになった。片足を代行会社に置きすぎると、こういうことが起きます。
3. オーナーからの紹介
継続率が一番高いチャネル。ただし発生頻度は業者側でコントロールしづらい。私は3年間で、清掃業者を他のオーナー友人に紹介したのは2回だけです。紹介は「頼まれて出す」より「勝手に湧く」性質があって、営業で作れるものではない。
それでも、紹介が湧く業者には共通点があります。写真報告がきれい、繁忙期に無理を聞いてくれた、当日キャンセル時の対応が誠実だった。要は既存顧客の満足度そのものが紹介の源泉なので、獲得というより長期契約に育てる関係作りの話に近い。
4. SNS・Googleビジネスプロフィール
2024年頃から、Xで「民泊 清掃 東京」を検索するオーナーがじわじわ増えている印象です。私も1回、Xの投稿を見て問い合わせしたことがあります。ただ、SNS経由の問い合わせは冷やかしも多くて、成約率は正直低い。
Googleビジネスプロフィールの「〇〇区 民泊清掃」で上位に出てくる会社は、それだけで信用が上がります。うちの物件で使っている業者も、Googleマップの口コミが50件以上あって、これがあると発注前の下調べで安心できる。
| チャネル | 初回獲得のしやすさ | 継続率 | 単価水準 |
|---|---|---|---|
| マッチングサイト | 高い | 中 | やや低〜中 |
| 運営代行の下請け | 中 | 高(束で来る) | 低め |
| オーナー紹介 | 低い(湧かない) | 非常に高い | 中〜高 |
| SNS・Googleマップ | 低〜中 | 中 | 中 |
単価・エリア・時期で変動します。数字はあくまで発注側の実感ベース。
オーナーが最初の連絡で見ている3つのこと
マッチングサイトなり紹介なりで、オーナーから最初の問い合わせが来た瞬間、実はもう選別が始まっています。私が7社に見積もりを取ってきた中で、返信内容の「これを見ていた」を言語化するとこの3つでした。
返信スピード(当日中か、翌営業日か)
私が本業で忙しい平日に問い合わせを送ったとき、当日中に返ってくる会社は、それだけで一段上に上がります。逆に3日以上放置された会社は、その時点で候補から外しました。繁忙期に予約が入っても、この会社は連絡取れないだろうと思うので。
返信は「見積もり作成中です、明日には送ります」の一報でいいんです。既読ではなく、着信ですぐ一言返す。これができる会社は、実務でも遅延連絡がまともなことが多い。
料金表の透明度
「まずは現地を見せてください、金額はそれから」という会社は、正直、面倒くさい。オーナーは複数社と比較したいので、ワンルーム・1LDK・2LDKの目安金額と、リネン・ゴミ・繁忙期割増の追加料金の見せ方は最低限、初回の返信でくださいと思う。
オーナーに選ばれる料金表の作り方を以前まとめましたが、この「透明度」は営業ツールというより、選ばれる前提条件です。
繁忙期の枠と当日キャンセル対応の明示
これは初回の見積もり書に書いてある会社が意外と少ない。「桜シーズン・GW・お盆・年末年始は+20%、当日キャンセルは料金の100%」まで明記してある業者は、私はその時点で「話が早い会社」と判断します。
逆に、繁忙期のことも当日キャンセルのことも触れずに「1回8000円」だけ書いてくる会社は、実際に繁忙期に予約が入ったときに揉める確率が高いと感じてます。
フリーランス新法で変わったこと(2024年11月〜)
2024年11月に施行されたフリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)は、清掃業者にも直接影響します。個人事業主・従業員を使用しない事業者が業務委託を受けるとき、発注側には書面等での取引条件明示と60日以内の報酬支払いが義務付けられました。
清掃業者の側から見ると、この法律は「営業ツール」として使える面があります。オーナーの多くは、自分たちが発注側として義務を負っていることを、正確には知らない。私も最初は「口約束でいいのかな」でやっていました。
発注書テンプレを業者側から出す
取引条件の明示は書面でも電子データでもよく、契約書のような形式は必須ではない、と中小企業庁の資料にあります。だから、清掃業者側が「弊社では発注書のテンプレを用意しています」とWordファイルを1枚出すだけで、オーナーは「この会社ちゃんとしてる」と感じる。
この一手はコストゼロですが、営業効果は大きいです。実際、私は「発注書テンプレをそちらで作っておきます」と言ってくれた業者にほぼ即決で決めました。事務作業が減るのは兼業オーナーにとって強い誘引になる。
中途解除の30日前予告ルール
継続的な業務委託を発注側が中途解除するときは、原則30日前までに予告する義務があります(6か月以上の継続契約の場合)。これは業者側の売上安定に直結する規定なので、契約書に明記しておくのが実務的に有効です。
詳細は契約書で確認すべきキャンセル・弁償・鍵管理の条項にまとめましたが、業者側からこの条項を提案できるかどうかで、プロ意識の見え方が変わります。
一社ずつ電話営業を回すより、条件を入れれば発注側が見つけに来てくれる仕組みに登録しておくほうが、時間当たりの獲得効率は高いです。
繁忙期の枠を握れる業者が勝つ構造
案件獲得の話で意外と語られないのが、繁忙期対応の設計です。2025年1〜12月の延べ宿泊者数は、観光庁調べで外国人が約1.78億泊、前年比+8.2%。都内の民泊は特に、桜シーズン・GW・お盆・年末年始で予約が偏ります。
この時期に枠が取れる業者は、翌年もそのオーナーを離さない。逆に、繁忙期に「今週は無理です」と3回続けて言った業者は、確実に切られます。私が過去に切った業者は、ほぼ全員がこのパターンでした。
応援スタッフの確保を平時からやっているか
繁忙期の枠を作る本質は、「その週に人を増やせるかどうか」に尽きます。応援スタッフの探し方と単価の目安を以前整理しましたが、スポットワーク・派遣・副業層のどれを軸にするかで、繁忙期の対応力が3倍くらい変わってきます。
浅草の物件で頼んでいた業者は、繁忙期になると社長本人が現場に入ってました。それでも週20件が限界で、うちに来られない週が発生した。人を増やせない業者は、案件を増やせない。単純ですが、この壁を越えられるかどうかが、月商のケタを分けます。
閑散期の谷を埋める提案ができるか
1月2月6月は民泊予約が落ちる時期。この時期に業者側から「定期の深掃除を入れませんか」「エアコン洗浄をこの月だけキャンペーンでどうですか」と提案してくれると、オーナーは乗ります。予約が入っていない月は現地に行かない期間が続くので、業者に定期で入ってもらえるのは安心材料になる。
詳しくは閑散期に売上を落とさない工夫で書いた通りで、繁忙期に選ばれる業者は、閑散期の関係維持まで含めて設計しています。
写真報告と鍵管理で差がつく
継続を決めるのは、契約書ではなく毎回の運用です。特にオーナーが「この業者を切りたくない」と感じる瞬間は、清掃後の写真報告と鍵管理の運用が丁寧な業者に共通しています。
写真報告は「清掃後10枚」がスタンダード
玄関・リビング・ベッド・水回り・ゴミ捨て場・鍵の返却位置。この6ポイントを毎回送ってくれる業者は、私にとっては「安心のブランド」になります。兼業で平日日中に動けない私は、写真がないと部屋の状態がわからないので、これがないと精神的にキツい。
スマホで撮って送るだけなので、コストはゼロ。でもやっている業者と、やっていない業者がはっきり分かれます。営業資料に「毎回、清掃後10枚の写真報告を送ります」と1行入れておくだけで、決定率は明確に上がります。
鍵の受け渡し方式を業者側から提案できるか
キーボックス・スマートロック・対面。3方式の使い分けと責任範囲を整理した記事も書きましたが、業者側から「うちはこの3方式に対応しています、物件によって最適な方式を提案します」と言えると、オーナーはかなり安心する。
逆に「鍵はどうしますか?」とオーナーに全部投げてくる業者は、経験不足を疑われます。私はそれで1社、初回打ち合わせで見送りにしました。
獲得だけでなく「切られない」ための3つの型
案件獲得の話は、獲得したあと切られなければ、実質「安定」になります。オーナーが業者を切るときの理由を、私が過去5回の切り替えで整理した順位はこうです。
- 繁忙期に3週連続で枠が取れなかった
- 清掃後の写真報告が徐々に雑になった(最初は10枚、半年後3枚)
- 当日キャンセル対応の条件が事前説明と違った
- 連絡のレスが遅くなった(最初は当日、後に3日以上)
- 担当者が辞めて品質が落ちた
初期の水準を1年後も維持する
これが本当に難しい。最初は熱心だった業者が、半年経つと写真が減り、レス速度が落ちる。ビジネス上は「慣れ」ですが、オーナーから見ると「信用が減ってきた」に映る。ここで意識的に維持できる会社が生き残ります。
品質チェックリストを業者側から共有する
清掃項目のチェックリストを、業者側からPDFで共有してもらえると、オーナーは「この会社は品質管理ができている」と判断します。項目の網羅性は、そのままオーナーの安心感につながる。
担当者が辞めても品質を落とさない引き継ぎ体制
スタッフ入れ替わりでの品質低下は、業者側の想像より重い問題です。オーナーは前任者のクセに慣れているので、新人がゼロベースで入ると必ずクレームが出る。引き継ぎマニュアルの作り方を業者側で整備しておくと、この落とし穴を避けられます。
読者が自分で決めるべき論点
ここまで発注側から見た「選ばれる業者」の条件を書きましたが、業者側の戦略として、判断が分かれる論点が1つあります。「1オーナー多物件」を狙うか、「多オーナー少物件」を狙うか。
私のようなオーナーを3人抱えれば月30〜60件の稼働が読めます。ただし、そのオーナーが撤退したら一気に稼働が飛ぶ。逆に多オーナー少物件なら、1件失っても影響は小さいが、事務作業とやり取りは3倍になる。
どちらが正解かは、御社の事務処理体制と、経営者の性格で決まります。私は正直、どちらもアリだと思ってます。ただし、両方を同時に狙うと中途半端になるのは、7社見てきた経験から明らかでした。
営業に時間を割く前に、条件を登録するだけでオーナー側から探しに来てくれる仕組みを一つ持っておくと、閑散期の谷埋めが楽になります。
よくある質問
Q1. マッチングサイトに登録するだけで案件は来ますか?
登録しただけでは、私の見てきた範囲では厳しい印象です。プロフィール文・料金表・過去の実績写真・対応エリアの明記が最低限。オーナー側は複数業者を比較するので、初回の返信スピードと透明な料金提示がないと、そもそも土俵に乗らない。逆に、料金表と繁忙期対応まで明記できていれば、初回の依頼獲得率は明確に上がります。
Q2. 単価はどのくらいで請けるのが妥当ですか?
編集部調べですが、東京都心のワンルーム民泊で1回7000〜10000円が実勢の中央帯です。広さ・リネンの有無・繁忙期割増で変動します。あまりに低い単価で入ると、最低賃金・労務費転嫁の観点で継続が持たない。私が過去に発注した業者で、初回6000円で入って半年で値上げを打診してきたところが2社ありました。最初から適正価格で入る方が、結果的にオーナーも業者も揉めにくいです。
Q3. 運営代行会社の下請けに入るのは得策ですか?
短期的な稼働確保としては有効ですが、単価が抑えられがちで、代行会社側の意向で急に案件が減るリスクがあります。単独で個人オーナーとの直接取引も並行して育てるのが安全策。私が観察してきた限り、代行会社1社に80%以上依存している業者は、代行会社の方針転換で一気に売上が飛ぶケースがありました。
Q4. 繁忙期に人手が足りないとき、どうしていますか?
私が長期契約している業者は、平時から副業層の応援スタッフ2〜3名と関係を作っています。日雇い派遣は労働者派遣法の制限があるため、直接雇用または業務委託で回すのが実務。詳細はスポット人材の教育の記事に整理しましたが、教育コストがかかるので、繁忙期の直前に慌てて増やすより、閑散期に少しずつ育てておくのが賢い。
Q5. フリーランス新法で、業者側は何をすればいいですか?
従業員を使用しない事業者として業務委託を受ける場合、発注側から書面での取引条件明示を受ける権利があります。業者側から「発注書のテンプレートを弊社で用意しています」と提示できると、発注側の事務負担が減り、決定率が上がる実感があります。詳細は政府広報オンラインや中小企業庁の一次情報をご確認ください。
Q6. オーナーから切られる兆候は何ですか?
私自身が業者を切る前の1〜2ヶ月は、必ず「レスが遅くなった」「写真が減った」「繁忙期に断られた」のどれかが起きています。逆に言えば、この3つの兆候を自社で監視できていれば、切られる前に手を打てる。3ヶ月に1回、オーナーに「困っていることないですか」と一言確認するだけでも、離脱率は下がります。

